制御系エンジニアとは?必要な資格や年収、将来性を解説

制御システムの開発や設計、運用・保守を担当する「制御系エンジニア」は、求人も多く、将来性の高い仕事といわれています。しかし、「やめとけ」という声もあり、目指すべきかどうか迷っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、制御系エンジニアの仕事内容や将来性、年収を解説します。また、「やめとけ」といわれる理由や、未経験から目指すために必要なスキル・資格も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

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制御系エンジニアとは?

チームで話し合うイメージ

制御系エンジニアとは、制御システムの設計・開発・運用・保守を担当するエンジニアのことです。

なお、制御システムとは、工場の大型機器や電力システムなどの何らかのコントロールが必要な場面で使われている仕組みのことです。自動運転機器の多くには制御システムが組み込まれ、機器の暴走やトラブルの抑制に役立てられています。

制御系エンジニアと制御設計の違い

制御系エンジニアと混同されがちな言葉に「制御設計」が挙げられます。制御設計とは制御システムの設計を担当する仕事で、制御設計に特化したエンジニアは「制御設計エンジニア」と呼ばれます。

一方、制御系エンジニアは、設計に加え、開発や保守・運用にわたるすべての業務を担当することが一般的です。しかし、企業によっては制御システム関連の仕事を担当するエンジニア全体を「制御設計エンジニア」と呼んだり、制御設計エンジニアが設計とプログラミングを担当したりすることもあるようです。

制御系エンジニアと組み込み系エンジニアの違い

組み込み系エンジニアとは、システムを機器に組み込む工程を担当するエンジニアのことです。開発業務は制御系エンジニア、組み込みとテストの業務は組み込み系エンジニアのように、仕事を分担することがあります。

制御系エンジニアと連携して仕事をする機会も多いため、仕事内容や役割が被り、混同されることもあるようです。組み込み系と制御系の違いについては、次の記事でもわかりやすく解説しています。ぜひご覧ください。
組み込み系と制御系の違いは?両者の役割と仕事内容

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制御系エンジニアの仕事内容

資料作成のイメージ

制御系エンジニアの仕事内容は、大きく次の3つに分けられます。

  • 制御システムの要件定義
  • 制御システムの設計・開発
  • 制御システムの導入・運用・保守

それぞれについて見ていきましょう。

制御システムの要件定義

制御システムの開発プロジェクトは、クライアントの要望を丁寧に聞き取り、全体図を定義する「要件定義」から始まります。

要件定義の工程において、制御系エンジニアはクライアントの要望を単に聞き取るだけでなく、よりよいシステムにするための提案をしたり、システムでできることと、できないことを解説したりすることが求められます。

要件定義は、プロジェクトの方向性を決める大切な工程です。また、いかに要望を汲み取った提案をするかによって、クライアントの満足度が左右されることになります。そのため、要件定義に関わる制御系エンジニアには、高いレベルの聞くスキルと説明するスキル、提案するスキルが求められるでしょう。

制御システムの設計・開発

要件定義に基づいて、制御システムの設計を行います。制御系エンジニアが担当するシステムは基本的にはオーダーメイドのため、搭載する機能や制御発動の仕組みなどもすべて一から設計します。

基本設計書を作成した後で、プログラミングについての詳細な指示を含む本設計書を作成するのも制御系エンジニアの仕事です。

なお、制御システムの設計と開発は、通常チームで進めていくため、各制御系エンジニアには協調性やコミュニケーションスキルが求められます。

制御システムの導入・運用・保守

制御システムが完成したら、テストを繰り返し、動作性に問題がないことを確認してからクライアントに納品します。納品の際には、制御系エンジニアが使い方やサポート体制についてクライアントに丁寧に説明することが一般的です。

また、納品後のアフターフォローも制御系エンジニアが担当します。トラブルが起こったときや使い方がわからなくなったときに駆けつけるだけでなく、定期的にクライアントの元を訪問し、不具合はないか尋ねるのも制御系エンジニアの重要な業務です。制御系エンジニアの仕事内容や求められるスキルについては、以下で詳しく解説しています。
制御エンジニアの仕事内容とは?必要なスキル・キャリアパスを解説

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制御系エンジニアは将来性のある仕事?

転職活動中のエンジニア

制御系エンジニアは、将来性のある仕事です。自動運転に対応した機器はますます増えてきているため、制御システムのニーズも増え、制御システムの専門家である制御系エンジニアのニーズも高まっています。

制御システムについての知識を増やし、関連業務の経験を積むことで、対応できる仕事の幅を広げていきましょう。また、エンジニア市場においての価値を高めるためにも、制御系エンジニアとしての仕事を経験することは有用です。

「制御系エンジニアはやめとけ」といわれる理由

将来性が高く、ニーズも高い制御系エンジニアの仕事ですが、「制御系エンジニアはやめとけ」という声もあるようです。また、制御システムの組み込みに特化した組み込み系エンジニアに対しても、「やめとけ」との声が聞かれることもあります。

これは制御系エンジニア・組み込み系エンジニアのニーズが高く、人手が足りていないことが原因といわれています。人手不足により残業時間が多い傾向にあり、ワークライフバランスがとりにくいと感じるエンジニアが多いのでしょう。

制御系エンジニア・組み込み系エンジニアとして転職するときは、残業時間や給与体系(みなし残業込みか)などもチェックしてください。

制御系エンジニアになるのは難しい?

制御系エンジニアはニーズが高く、人手不足の企業も多いため、なるのが難しい仕事ではありません。しかし、制御系エンジニアとして活躍するためには、制御システムについての網羅的かつ詳細な知識・スキルが必要になるため、学びを深めるだけでなく経験を積んでおくことが求められます

また、自動運転技術は急速に進化している分野のため、制御システム技術も日進月歩です。制御系エンジニアとして働くのであれば、新しい技術に対して敏感に反応し、常に学び続けることが必要といえます。

加えて、制御系エンジニアは人手不足の傾向にあるため、残業が増え、激務になる可能性があります。体力的・時間的に対応できるのかについても吟味し、自分に合った働き方ができる環境か確認しておきましょう。

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制御系エンジニアに向いている人は?

指摘に対して納得するエンジニア

次の特質を備えている方は、制御系エンジニアに向いていると考えられます。

  • 伝える力が優れている
  • 感情的・直感的に行動しない
  • 新しい技術についての情報収集力と応用力が高い

制御系エンジニアは、クライアントと話し合いながら制御システムを設計します。制御システムにはどのような機能が必要か、クライアントのニーズを満たすにはどのような工夫が必要かを正確に説明するためにも、伝える力が必要です。

また、制御システムは確かな理論と技術に基づいて構築していきます。感情的・直感的にデザインすると、機能が正しく作動しない可能性があります。普段から感情的・直感的に動くのではなく、理論に基づいた行動をするように心がけましょう。

制御システムの世界は常に技術革新が行われ、新しい技術、新しい仕組みが誕生しています。新しいものなら何でもよいというわけではありませんが、

新しい技術・仕組みの中にはクライアントにとって有用なものが多いのも事実です。新技術に対してのアンテナを張り巡らし、クライアントにとってベストの提案ができるようにしておきましょう。

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制御系エンジニアの年収

家計を気にするイメージ

制御系エンジニアの平均年収は500万~540万円です。ただし、個人差が大きく、年収幅は広いといわれています。

スキルが高く、経験が豊富な場合や大手企業に勤務する場合、また、コンサルティングや設計などの上流工程から導入・運用などの下流工程まですべて対応する場合などは、平均よりも高い年収を期待できるでしょう。

反対に、スキルや経験が十分ではなく、運用・保守などの下流工程のみ対応する場合は、平均よりも年収が低くなると考えられます。

また、勤務先によっては、対応する業務に比べて年収が低く設定されていることがあります。業務の質や量に給与が見合わないときは、転職や独立を検討してみてもよいかもしれません。

制御系エンジニアとしてフリーランスで働く場合の平均年収は、約660万〜960万円です。スキルが高く、実績があるエンジニアなら、年収1,000万円を目指すことも可能です。

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制御系エンジニアは未経験でも挑戦できる?

転職したばかりのエンジニア

今までにエンジニアとして働いたことがない方や、制御システムについてまったく知識のない方が、制御系エンジニアになるのは難しいといえます。少なくともSE(システムエンジニア)としての経験は必要です。

また、制御系エンジニアとしての適性や能力を示すスキル・資格があるなら、さらに挑戦しやすくなります。制御系エンジニアに求められるスキルと資格について見ていきましょう。

制御系エンジニアに転職するために必要なスキル

制御系エンジニアに転職するなら、次のスキルは必須です。

  • システム開発に必要なプログラミング言語の知識
  • 論理的思考力
  • コミュニケーションスキル
  • IT全般・電子工学の知識

それぞれのスキルを解説します。

システム開発に必要なプログラミング言語の知識

制御系エンジニアは、基本的にはシステムの開発から運用・保守までのすべてを担当します。システムを開発し、設計図を作成するには、プログラミング言語の知識と実践で使えるスキルが必要です。

制御システムに使われる主なプログラミング言語は、JavaとC言語です。いずれも汎用性が高く、制御システム以外でも活用できるプログラミング言語のため、学んでおくとエンジニアとして幅広い業務に対応できるようになります。

論理的思考力

クライアントが求める制御システムを設計するためには、確かな知識と実務経験に基づく論理的思考力が必要です。論理を飛躍せずに順序立てて説明することで、クライアントの理解を得られ、満足度の高いシステムを提案できます。

制御システムが正しく作動しないと、事故やトラブルを招くことになってしまいます。安全かつ安心できるシステムを構築するためにも、論理的思考力が欠かせません。

コミュニケーションスキル

クライアントの希望に沿った制御システムを設計するためには、丁寧にクライアントの意見を聞き、顧客のニーズも反映した提案をすることが必要です。

また、完成したシステムを納品して終わりというわけではないため、長期的な関係を構築することも欠かせません。加えて、制御システムは通常チームで開発するため、チーム内でお互いの業務を把握しておくことや連携を取り合うことも重要です。

これらのいずれにも必要とされるのがコミュニケーションスキルです。制御系エンジニアとして働くのであれば、職場を問わず高いコミュニケーションスキルが必要とされるでしょう。

IT全般・電子工学の知識

システムの設計から導入・保守・運用のすべてに対応するには、制御システムだけでなくIT全般の知識が必要です。IT界は常に進化しているため、新しい知識や業界全体の動向も把握しておきましょう。

また、制御系エンジニアはクライアントと話す機会が多い仕事です。IT関連の質問を受ける機会も多いため、正確に答えることで信用獲得につなげられます。

制御系エンジニアに転職するために必要な資格

制御系エンジニアとして働く際に、特別な資格は必要ありません。しかし、制御系エンジニアとしての転職を目指すなら、業務を行ううえで必要なスキルや知識を持っていることを示せる資格を有しているほうがよいでしょう。

特に持っていたい資格としては、次のものが挙げられます。

  • ETEC(組込み技術者試験制度)
  • 基本情報処理技術者試験
  • 電気製図技能検定
  • CAD利用技術者試験
  • 電気主任技術者試験

それぞれの資格について解説します。

ETEC(組込み技術者試験制度)

ETEC(組込み技術者試験制度)は、システムの組み込み作業に必要なスキルや知識を評価する試験です。制御系エンジニアはシステムの導入作業も担当することがあるため、資格を取得しておくほうがよいでしょう。

ETECにはクラス1とクラス2があり、クラス1は中級技術者レベル、クラス2はエントリーレベルとされています。まずはクラス2に挑戦してみてください。

参考:一般社団法人 組込みシステム技術協会|ETEC(組込み技術者試験制度)

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験とは、ITエンジニアに必要な基本的な情報技術の知識を網羅した試験です。プロジェクトリーダーの指示に正確に従った行動をするためにも、基本情報技術者試験の資格を取得しておくことが求められます。

なお、基本情報技術者試験は国家試験の一つです。制御系エンジニアとして働くときだけでなく、エンジニアやIT関連の仕事で働くときにも評価されます。

参考:独立行政法人 情報処理推進機構|基本情報技術者試験

電気製図技能検定

電気製図技能検定は、国家検定制度の一つで、配電盤や制御システムの製図スキルを評価する検定試験です。試験では、知識だけでなく実務スキルも問われるため、実際に制御系エンジニアとして働いてからチャレンジするほうがよいでしょう。

また、試験は年に2回実施されますが、技能検定の種類や開催地によって日程が変わることもあるため、申込時に確認しておくことが必要です。

参考:中央職業能力開発協会|電気製図(配電盤・制御盤製図作業)

CAD利用技術者試験

CAD利用技術者試験とは、コンピュータで製図を行うときに利用するCADの技術を評価する試験です。二次元CADと三次元CADがあり、それぞれ別の試験が実施されます。

また、二次元CAD利用技術者試験は1級・2級・基礎、三次元CAD利用技術者試験には1級・準1級・2級があります。いずれも1級の受験には、準1級もしくは2級に合格していることが必要です。

参考:一般社団法人 コンピュータ教育振興機構|CAD利用技術者試験

電気主任技術者試験

電気主任技術者試験とは、電気設備の保安監督に従事するための国家資格です。第一種と第二種、第三種の3つの種類があり、それぞれ資格取得までのフローや従事できる業務が異なります。

なお、第二種と第三種は工作物の電圧に制限がありますが、第一種では制限がありません。より大規模なプロジェクトに関わるなら、第一種電気主任技術者の資格取得を目指しましょう。

参考:一般財団法人 電気技術者試験センター

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制御エンジニアに関するよくある質問

ここでは、制御エンジニアに関するよくある質問に答えていきます。

Q. 制御エンジニアはどのような資格を取得した方が仕事に役立ちますか?

エンベデッドシステムスペシャリスト試験、ETEC等の資格が制御エンジニアの仕事に役立ちます。

Q. 制御エンジニアとして活動するためにはどんなスキルが必要ですか?

プログラミングスキル、論理的思考力、コミュニケーションスキル等が必要です。

Q. フリーランスの制御エンジニアの平均年収はどの程度ですか?

フリーランスの制御エンジニアの平均年収は約698万円です。

Q. 制御エンジニアの業務内容について教えてください。

制御エンジニアはシステムの設計・開発、クライアントの要件の定義、システムの導入・アフターフォロー等の業務を担っています。

Q. 制御エンジニアはどんなキャリアパスに進むことができますか?

組み込み系エンジニア、ソフトウェアエンジニア、アプリケーションエンジニア等のキャリアパスに進むことができます。

※本記事は2024年5月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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