個人事業主の領収書ガイド|書き方や保管方法、どこまで経費になるか

この記事でわかること
  • 個人事業主の領収書に記載すべき項目
  • 領収書の保管方法や注意点
  • 経費にできるもの・できないもの

「領収書の書き方やなぜ必要かわからない」という個人事業主向けに、記載すべき項目、領収書がない場合の対処法などを解説します。

また、個人事業主の場合、正しい領収書にするだけでなく保存も重要になります。そこで、電子の領収書の保存方法やテンプレートも解説しました。確定申告や税務調査のリスク軽減やスムーズな対応ができるようになるので、ぜひ参考にしてください。

なお、請求書の書き方については以下の記事で解説していますのでこちらをご参照ください。
何を記載すれば良い?請求書の書き方と注意すべき点

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目次

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個人事業主の領収書の記載項目・テンプレート

領収書に記載すべき項目は、下図の8項目です。

個人事業主にとって領収書は、確定申告などに必要な大切な書類です。自分で記載して発行する場合もあります。書き方によっては信頼にも関わるので、きめ細やかな配慮が必要です。

各項目を詳しく解説するので、参考にしてみてください。

①宛名

代金を支払った者として個人であれば氏名、会社であれば正式名称を略さず書きます。不正請求を防ぎ、税務調査でマイナスの印象を与えないためです。

「上様」は必ずしもだめではありませんが、正式名称で記載する方が望ましいです。領収書の発行を依頼されたら「宛名はどうなさいますか」と相手に確認してから書きましょう。

②日付

代金を受け取った日付を書きます。領収書の日付は、どの年度の損金になるか税務上で重要な意味を持ちます

西暦、和暦どちらでもかまいません。年から略さずに明記しましょう。

③金額

金額については、以下のポイントをおさえておきましょう。

  • 金額の先頭に¥(円マーク)または「金」をつける
  • 3桁ごとに「,」で区切る
  • 金額の末尾に「※」「ー」「也」をなどをつける

金額の改ざんを防ぐために、金額の末尾には「※」「ー」「也」などを書きましょう。

④但し書き

但し書きには、具体的に何の代金を支払ったのか記載します。語尾に「~として」をつけるのが一般的です。「お品代」は一般的に使われますが、税務上は避けたほうが無難です。

品数や使用用途が複数ある場合は、代表的なものを記載します。たとえば高額なものを代表として「書籍代他5点」という書き方があります。

軽減税率の対象品を含む場合は、「(軽減税率対象)」「※軽減税率対象」をつけましょう。

⑤発行者の名前、住所、連絡先

発行者の名前は、会社名や屋号、店舗名を記載します。印鑑は必須ではありませんが、一般的には押印します。発行者欄にかぶるように、押印しましょう。

⑥5万円以上の領収書には収入印紙が必要

税抜き5万円以上の領収書には、収入印紙を貼って消印を押す必要があります。収入印紙の再利用を防ぐためです。

収入印紙は、税金の1つで、印紙税法の法律で決められた課税文章に貼るものです。通常は領収書を発行した側が負担します。

⑦税率ごとの金額(インボイスの場合)

内訳には、税率8%、10%の商品サービスをそれぞれ合計して記載します。記載方法は税抜、税別どちらでもかまいません。

インボイス制度の適格請求書の記載要件を満たすためには、「税率ごとに合計した消費税額」もあわせて記載する必要があります

⑧登録番号(インボイスの場合)

インボイス制度導入後、領収書やレシートは要件を満たしていれば「適格簡易請求書」にできます。発行事業者名の近くにインボイス発行事業者の登録番号を記載しましょう。

インボイス制度について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
フリーランスに消費税が課される条件とは?インボイス制度の影響も解説

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領収書がない・もらい忘れた時に個人事業主がすべきこと

領収書がない、もらい忘れた場合の対処法を解説します。領収書は、レシートやクレジットカードの明細、出金伝票で代用できます。

代用するには、取引の証拠となる内容を記載する必要があります。以下で詳しく解説するので、領収書がない場合は参考にしてみてください。

レシートで代用

レシートも領収書と同様に、金銭受理を証明する受取書として認められています。金額が3万円以下で、小売業、飲食業や旅行業など特定の業種が発行したレシートであれば代用できます

レシートは、宛名がなくても、税務調査上で問題にされません。品目の内訳が細かく印字されているため、信憑性も高いです。

クレジットカードの利用明細で代用

クレジットカードの利用明細は、領収書として代用できます。請求時にカード会社から送付されたり、Webで確認できる請求明細書も、支払いを裏付ける書類として認められています。

しかし、請求明細書は取引先ではなく、カード会社が発行するもので領収書と同等には扱えません。どうしても領収書やレシートがない場合の、最終手段と考えておきましょう

出金伝票で処理

領収書が発行されなかった場合やもらい忘れたときは、出金伝票を自身で作成して代用できます。出金伝票とは、個々の取引内容をその場で記録するために使う「伝票」の一種です。

出金伝票には、以下の項目を記載しましょう。

  • 日付
  • 支払先(出金先)
  • 勘定科目(消耗品代・旅費交通費・接待交際費など)
  • 摘要(〇駅~△駅・〇株式会社△部長と会食など)
  • 金額

領収書がない場面と具体的な対処法

冠婚葬祭や公共交通機関、自動販売機など領収書が発行されない場面での対処法を解説します。

冠婚葬祭の祝儀や香典

取引先の冠婚葬祭で祝儀や香典を支払った場合は、交際費として経費にできます。冠婚葬祭では、領収書がもらえない場合が多いので、自身で出金伝票を作成しましょう

摘要には、「ご祝儀 ホテル名」「香典 斎場名」などと記載します。支払金額、日付も忘れずに記載しましょう。また、結婚式の招待状や会葬礼状を一緒に保管しておくとよいでしょう。

公共交通機関の場合

電車やバスを利用した場合は、利用した区間と日付で出金伝票を作成します。利用回数が多い場合は、以下の項目を記載した、交通費精算書の一覧を作成しましょう

  • 申請者の氏名
  • 日付
  • 訪問先
  • 利用した交通機関・路線
  • 利用区間(出発・到着)
  • 片道・往復
  • 摘要・備考欄
  • 金額
自動販売機の場合

自動販売機で飲み物などを購入した場合は、以下の項目を出金伝票に記載しましょう。

  • 金額
  • 本数
  • 差し入れの場合は、取引先名
  • 備考欄に自販機のため領収書なし
割り勘した場合

複数人で割り勘した際は、レシートがもらえても経費にする金額が相違している場合があります。その場合は、レシートにメモを残して正しい金額を計上しましょう。

レシートがもらえない場合は、出金伝票を作成します。飲食代の場合、誰とどのような目的で飲食したのかわかるように記載しましょう。

しかし、インボイス制度では、レシートや領収書がないと仕入税額控除が受けられません。実際の負担額で人数分や経費を計上する事業者ごとに分割して、領収書を発行してもらう必要があります。

3万円未満の公共交通機関や自動販売機での購入は、領収書がなくても、帳簿記載と保存で仕入税額控除が可能です。

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個人事業主の領収書の保管期間

領収書の保管期間は、下の表のとおり確定申告の種類や欠損金の有無で異なります。

対象 保存期間
白色申告 5年
青色申告 7年
青色申告:前々年分所得が300万円以下 5年
青色申告:欠損金が生じた事業年度 10年


領収書は、税務調査の際に税務署からの求めに応じて、提出しなければいけません。月ごとに保管して逸失に注意すれば十分です。

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個人事業主の領収書の整理・保管方法

領収書の整理や保管方法を紙と電子データに分けて解説します。適切に管理されていれば、経費計上にあたっての作業がスムーズになります。

注意点や整理整頓のポイントについて確認しましょう。

紙の場合

レシートは、長時間日光にあたっていると印字が消えてしまいます。早めにファイリングして保管しましょう。

電子データは、プリントアウトして保管する方法も認められています。しかし、2024年1月からは、電子取引のデータ保存が義務化されるので注意しましょう。

日付ごと・月別にまとめる

以下の方法を参考に、日付や月ごとにまとめておきましょう。

  • 月ごとにA4の紙に張り付け、12枚用意した封筒に入れる
  • 月ごとにクリアファイルにまとめる
  • 1日の領収書の枚数が多い場合は、ホチキスなどで束ねておく

月別にまとめたら、1年分を収納できる箱などに保管しておきましょう。

出費の種類別にまとめる

出費の種類別に領収書を分けて保存する方法もあり、具体的な分け方の例は以下のとおりです。

  • 事業の費用
  • 税金
  • 医療費
  • 交際費
  • 公共料金など

領収書の保存の際に細分化していると、確定申告や税務調査のときの対応が楽になります。

電子データ保存の場合

領収書やレシートは、スキャナ保存の要件を満たした電子保存をすれば、原本は破棄して問題ありません。解像度が200dpi以上であれば、スマートフォンやデジカメによる撮影も認められています。

スキャナ保存する際は、国税庁の摘要要件を確認して解像度や読み取り方法、入力期限などに注意しましょう。

スマートフォンのカメラを利用して、スキャナ保存ができるアプリやサービスもあります。保存したら、経費の項目ごとに分けたファイルへ移しましょう。

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経費にできるもの・できないもの

個人事業主は、事業に関係のある出費は経費として計上できます。経費にできるもの、できないものを把握して、領収書やレシートはきちんと保管しておきましょう。

ここでは代表的なものにしぼって解説するので、節税にこだわりたい場合は以下の記事も参考にしてみてください。
フリーランスの経費はどこまで?計上できるものやいくらまでの割合が適正か

経費にできる例

以下は、経費にできるものの例です。少しでも事業に関係があれば経費にできます。

  • 家賃
  • 光熱費(電気・水道・ガス)
  • 電話
  • パソコンやインターネット
  • 交通費
  • 車関連(ガソリン・自動車税)
  • 郵便
  • 事務用品
  • 書籍・新聞
  • 名刺作成代
  • 従業員の給料
  • 取引先との食事・贈り物

自宅と仕事場を兼用している場合、家賃や光熱費は、事業で行う上で発生した支出のみ経費にできます。

経費にできない例

当たり前ですが、家庭・プライベートでの費用全般は経費として計上できません。その他に、以下は経費にできないので注意しましょう。

  • 事業主の給料
  • 事業主の健康診断費用
  • 法人税・法人住民税
  • 個人の社会保険料

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特に領収書で注意すべき点

個人事業主は領収書の記載事項と電子帳簿保存法への対応に注意しなければいけません。それぞれ詳しく解説するので、遵守してリスクを低くしましょう。

記載事項を確認する

領収書が「支出の証明書」としての役割を果たすために、以下の点に注意しましょう。

  • 必要項目が間違いなく記載されている
  • 但し書きはお品代ではなく、具体的に記載されている
  • 税抜き5万円以上の場合、収入印紙の貼り付け及び消印があるか

電子帳簿保存法への対応

電子帳簿保存法は、紙で保存が義務付けられていた税務関係の帳簿や書類を、要件を満たせば電子データで保存できる法律です。2024年1月からは、電子取引におけるデータ保存が義務化されます。

領収書を電子データで保存する際は、国税庁の摘要要件を確認して、解像度や入力期限などに注意しましょう。

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個人事業主の領収書に関するよくある質問

領収書の必要性や、記載すべき項目に関する質問に答えます。領収書は、確定申告の際に必要な大切な書類なので、正しく理解しておきましょう。

Q.領収書はなぜ必要ですか?

領収書は必要経費として、税務署に認めてもらうための証拠となるものです。確定申告を行う際に必要なので、必ず保管しておきましょう。

Q. 領収書に項目を記載すべき項目は?

領収書には、以下の項目を正しく記載しましょう。

  • 宛名
  • 日付
  • 金額
  • 但し書き
  • 発行者の名前、住所、連絡先
  • 5万円以上の場合は収入印紙と消印
  • 税率ごとの金額(インボイスの場合)
  • 登録番号(インボイスの場合)

Q. 個人事業主の領収書の保管期間はどのくらいですか?

白色申告は、5年です。青色申告は、7年です。青色申告の中でも、欠損金が生じた事業年度は、保管期間が10年となります。

※本記事は2023年10月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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