法人化する目安・タイミングは?法人化・法人成りの費用までFPが解説

「事業が拡大したら法人化を検討しましょう」とはよく聞くものの、具体的なラインはどこにあるのか。また、個人事業主は費用をかけずに始められるのに対し、法人設立には費用が発生します。そんな悩ましい法人化のお金の話をファイナンシャルプランナーが解説していきます。

※関連記事
■第1回 : 法人化・法人成りとは?個人事業主から法人になる意味は
■第2回 : 法人化(法人成り)のメリット・デメリットをFPが解説
■第4回 : 法人化・法人成りの手続きの流れ・手順を解説
■第5回 : 個人成りとは?法人化の前に知っておきたい注意点
 

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目次

法人化(法人成り)べきタイミング・目安

第3回目の今回は、「法人化する目安・タイミングは?法人化・法人成りの費用」について解説していきます。

前回では、法人化のメリット・デメリットをお伝えいたしましたが、次に気になることは、やはり法人化のタイミングではないでしょうか。

個人事業より法人化(法人成り)する目安としては、3つ ございます。

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売上高1000万円

まず1つ目が「売上高1000万円」になります。前回のコラムでもお伝えいたしましたが、1年間の売上高が1000万円を超えた段階で、消費税の納税義務が2年後に生じます。

また前年の前半6カ月の課税売上高が1,000万円を超える場合、かつ給与等支払額が1000万円を超えている場合も同様に、消費税の納税義務者となります。

そのため、1年間の売上高が1000万円を超えそうなときは、法人化を検討するタイミングともいえるでしょう。そのタイミングに合わせて法人化することで、個人事業主としての消費税の納税義務が免除されるからです。
※個人事業主と新設法人とは、別のものとして考えるためです。

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課税所得800万円

2つめの法人化検討の目安としては、「課税所得800万円」が挙げられます。

法人の利益に課税される法人税率は、中小法人であれば、利益800万円以下は19%(15%)、800万円超は23.2%%の税率となります。
※表中の括弧書の税率は、2019年3月31日までの間に開始する事業年度について適用されます。

一方で、個人事業の利益に課税される所得税の税率は5%〜45%と、所得が増えるほど税率が高くなっていく仕組みになっています。

所得税の速算表
課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1800万円を超え 4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円を超 45% 4,796,000円


そのほかの税負担も含めた実効税率は30%弱といわれていますので、「課税所得800万円」は個人事業主としての所得税率が上がる前に法人化(法人成り)を検討するタイミングといえます。

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利益500万円

ですが、実際には経営者の給与額など、その他の様々な要素によって結果は変わりますが、利益が500万円を超えた段階で法人化(法人成り)への試算をオススメしています。前回のコラムでお伝えいたしましたが、法人化することで「経費に算入できる幅が個人事業主よりも増える」「税制優遇が増える」からなんです。

  • 役員報酬は、法人の経費として全額を損金算入することができます(法人としての節税)。
  • 役員報酬として給与を受け取りますので、給与所得控除(個人としての節税)を使えることになります。
  • 法人契約の生命保険料も、契約内容によって保険料の一部〜全額が経費になります。
  • 退職金制度も使えます。制度によっては損金として算入できますので「給与の先送り」をして所得税・住民税を圧縮することが可能!


このように経費項目が増えるため、税負担を軽くすることができます。利益の継続性が見込める場合は検討してみましょう。

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法人化(法人成り)の費用

法人を設立するため費用としては、必要な費用は定款作成費用と設立登記費用から成ります。両者を合計すると、25万円程度は必要となります。また、これらの費用は全額経費として落とせます

定款作成にかかる費用の目安

「定款」とは、個々の私法人の組織・活動について定めた根本規則(を記した書面)です。会社を設立するためには、会社法に基づく定款の作成が義務づけられています。

  • 定款印紙代 10,000円
  • 公証人への定款認証手数料 52,000円(謄本取得代約2,000円)

設立登記費用かかる費用の目安

  • 法人印 約10,000円
  • 登録免許税(株式会社:約15万円、合同会社:約6万円、一般社団法人:約11万円)※(資本金の0.7%・15万円が下限)

またその他の費用として、下記のようなものもあります。

  • 銀行口座開設費用(法人登記簿謄本、印鑑証明など)
  • 専門家報酬 約10万円(自身で設立手続を行えば費用は不要)

資本金として出資する金額

2006年5月から最低資本金制度(株式会社は最低1000万円、有限会社は最低300万円の資本金を必要とする制度)が撤廃されたため、資本金は1円でも構いません

出資した資金は使えなくなるわけではなく、使うことは可能です。資本金は「財務の健全性」という観点からは、多いに越したことはありませんが「資本金が1000万円以上となると消費税の免税事業者でなくなる」などの注意点が挙げられます。

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助成金や補助金の検討

助成金や補助金は、国や地方自治体などからもらえる資金となります。

銀行からの借り入れや新創業融資制度をはじめとした「融資」は返済をしなければいけませんが、「助成金」や「補助金」は返済しなくて良いため、活用するのも戦略の一つとすることもできます。

助成金などは、申請しなければもらうことができませんので、情報収集も大事な仕事と思って頂ければと思います。

「法人化する目安・タイミングは?法人化・法人成りの費用」を解説いたしましたが、しっかりとポイントをおさえて、法人化(法人成り)を検討して頂きたいと思います。

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法人化の目安に関するよくある質問

ここでは、法人化の目安に関するよくある質問に答えていきます。

Q. 法人化(法人成り)を検討すべきタイミングは、どのような時ですか?

法人化のタイミングは、売上が1000万円を超えた時や課税所得が800万円を超えた時が目安となりますが、具体的なタイミングは事業状況や目標によって異なります。

Q. 課税所得800万円を超えた場合に、法人化(法人成り)を検討するのはなぜですか?

課税所得800万円を超えた場合、所得税の負担が増える可能性があるため、法人化を検討することがあります。法人化により法人税の適用を受けることで、所得税負担の軽減や経費の節税が期待されるからです。

Q. 法人成りにおいて、資本金の金額はどのように決めるべきですか?

資本金は1円でも法人を設立できますが、取引先からの見え方やリスクを考慮して、3ヶ月から半年間分の運転資金を資本金として用意しておく事が必要です。また、資本金が1000万円以上となると消費税の免税事業者でなくなるということにも注意が必要です。

Q. 法人成りに必要な定款作成費用の内訳は何ですか?

定款作成費用は、公証役場へ支払う定款認証の手数料と、定款認証時の収入印紙が主な費用です。

Q. 補助金や助成金を利用するメリットとデメリットは何ですか?

補助金や助成金を利用するメリットは、返済義務がないことです。デメリットは、申請に時間と労力がかかること、必ず受給できるわけではないことなどです。

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※本記事は2018年10月時点での内容を基に作成しております

最後に

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