法人と非法人のメリット・デメリットを紹介
個人事業主と起業

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いずれは独立開業を視野に入れているという方は、「起業」や「個人事業主」という言葉が目に入ってくるのではないでしょうか。この記事では、会社員を辞めて事業をスタートするなら、法人(起業家)と非法人(個人事業主)のどちらがいいのかについて解説。手続き面や費用面、税金などの面から、それぞれのメリット・デメリットを検討します。

この記事での「起業」「起業家」「個人事業主」の定義

「起業」「起業家」という言葉は、

 ・「事業を行っている人全般」を指す場合

 ・「個人事業主として事業を営んでいる人」を指す場合

 ・「法人を立ち上げた人」を指す場合

など、状況や目的に応じてさまざまな意味で使用されます。

この記事では、主に「法人を立ち上げた人」を指す場合を「起業」「起業家」として使用します。また、個人事業の届出を行い、税法上で個人事業者として活動している人を「個人事業主」として扱います。
 

参考 : 事業者とは|国税庁

参考 : 平成29年就業構造基本調査 用語の解説|総務省統計局

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0. 目次

1. 会社員を辞めてフリーランスになるなら、法人と非法人のどちらからスタートするのがいいか
2. ゼロからスタートするなら個人事業主がおすすめ
        2-1. ポイント1. 非法人なら開業手続きはあっという間
        2-2. ポイント2. 開業にかかる費用が安い
3. こんな人は法人化(起業)からスタートしたほうがメリットがある場合も
        3-1. 想定している事業規模が大きい方
        3-2. 社会的信用を重視する方
        3-3. 事業が行き詰ったときのリスクをできるだけ抑えたい方
4. 法人の設立・運営にかかるお金のアレコレ
        4-1. 会社を設立(起業)する時にかかる費用例
        4-2. 社会保険料の負担
5. 税金で比較する起業家と個人事業主
        5-1. 個人事業主が支払う所得税「超過累進税率」
        5-2. 法人の場合、法人税が一定税率のため、売上が大きい場合はメリット
        5-3. 法人(起業家)は赤字の場合でも7万円の住民税均等割が発生する
        5-4. 経費にできる費用の種類は法人(起業家)の方が幅広い
        5-5. 保険料の労使折半

1. 会社員を辞めてフリーランスになるなら、法人と非法人のどちらからスタートするのがいいか

この記事では、「会社員を辞めてフリーランスになるなら、法人と非法人のどちらからスタートするのがいいか」について比較検討していきます。

現在の働き方や将来的なビジョンによって、それぞれにメリット・デメリットがありますので、ご自身の場合はどうかを考えながら読み進めていただければと思います。

ポイントを押さえよう

はじめに、「個人事業主としてスタートする場合」と「法人化してスタートする場合」それぞれのポイントをまとめると、以下のことが言えます。

個人事業主と起業家(法人)のメリット・デメリット比較
  個人事業主(非法人) 起業家(法人)
メリット デメリット メリット デメリット
手間 ・開業手続きが簡単 ・開業手続きの負担が大きい
費用 ・開業費用は無料 ・法人設立にあたり約25万円の費用がかかる
経費 ・経費にできる支出の種類は法人より狭い ・経費にできる支出の種類が幅広い
社会保険 ・社会保険の労使折半がない
(従業員を雇わない場合)
・保障が薄い ・社会保険の加入が義務のため保障が手厚い ・社会保険料の負担が大きい(労使折半)
信用 ・企業によっては取引してもらえないことがある ・取引できる企業が幅広い
リスク ・全ての責任をとる「無限責任」 ・出資金の範囲で責任をとる「有限責任」
税金 ・所得税率が最低5%からなので、利益が少ない間は法人より有利 ・利益が多くなるほど所得税も上がっていく(最大で45%) ・法人税率が最大で23.2%と、利益が上がるほど有利 ・利益が少ないうちは個人事業主の方が税負担が小さい
・赤字の場合でも7万円の住民税均等割が発生する


■個人事業主としてスタートする場合(非法人)
・メリット:手間や費用をかけずにすぐ開業できる
・デメリット:収入が多いと多くの税金を納めなければならない、人材の集めやすさや社会的信用は法人より不利
・補足:収入が少ない場合や事業が大きくない場合は、法人よりも節税できる/何かあった時はすべて自分で責任をとる「無限責任」

■法人化してスタートする場合
・メリット:社会的信用が高い、人材を集めやすい
・デメリット:事務作業や各種手続きが複雑、立ち上げにそれなりの費用と手間がかかる
・補足:収入が多い場合は個人事業主よりも節税できる/何かあった時は出資金の範囲内で責任をとる「有限責任」

0からフリーランスとしてスタートするような場合は、いったん個人事業主として開業し、収入が上がってきたら法人化という方法が一般的です。

開業の手間やコストをかけずに手早く開業できるほか、法人からスタートするよりも複雑な手続きや事務負担なく事業を運営することができます。

逆に、会社員時代に副業として事業を育てて、ある程度大きくなったところで独立開業するようなケースでは、法人ならではのメリットを活用するのもおすすめです。法人化したほうが利益が多いと判断した場合は、会社を退職後すぐに法人としてスタートするのも良いでしょう。

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2. ゼロからスタートするなら個人事業主がおすすめ

もし、あなたが今まで副業などで継続して事業を行った経験がなく、これから会社を退職して独立しようと考えているのであれば、個人事業主としてスタートするのがおすすめです。

大きな理由としては、「開業手続きや開業後の事務作業が少ないこと」「開業費用が安いこと」などが挙げられます。

2-1. ポイント1. 非法人なら開業手続きはあっという間

「個人事業の立ち上げ」というと、色々と難しい手続きを想像されるかもしれませんが、実は個人事業主(非法人)としてスタートする場合の開業手続きは2ステップしかありません。

必要な手続きは「保険、年金の切り替え」と「開業届の提出」の2つだけ

個人事業の開業手続きは以下の2ステップです。

■1. 保険、年金の切り替え
会社を退社したら、まず「国民年金への切り替え手続き」と、「国民健康保健(※)への切り替え手続き」を行います。どちらも退職した日から14日以内に、市区町村役場で手続きを行いましょう。 

※国民健康保険へ加入する以外に、会社の健康保険を任意継続する、家族の勤め先の健康保険の扶養になるなどの選択肢もあります

■2. 開業届の提出
次に「開業届」(個人事業の開廃業等届出書)を税務署に提出します。提出期限は事業開始から1カ月以内。また「青色申告」を行う場合は、事業開始から2カ月以内に「青色申告承認申請書」を提出することとされています。

手続きが多い法人設立(起業)

法人を設立する場合の手続きは、「保険、年金の切り替え」「定款の認証」「法務局で設立登記を行う」「税務署へ『法人設立届出書』を提出」「社会保険まわりの手続き」の5ステップです。個人事業主としての開業と比較すると、倍以上の手続きが必要になります。

また、

・手続きを行う場所がバラバラである
・必要書類の数が多く、それぞれの手続きに必要な書類を入手、記入するのにそれなりの手間がかかる
・定款の作成には公証人を立てる必要がある

など、個人事業の場合と比べると、手続きの内容自体も複雑です。

2-2. ポイント2. 開業にかかる費用が安い

個人事業主の方がスタートしやすい2つめのポイントは、お金をかけず始めることができるという点です。

個人事業主には基本的に無料でなれる

個人事業主として開業する場合、「開業届」および「青色申告承認申請書」の提出にかかる費用は無料です。一方、法人を設立に必要となる定款作成と設立登記には、合計約25万円がかかります(株式会社の場合)。このように費用の面からも大きな差があります。

3. こんな人は法人化(起業)からスタートしたほうがメリットがある場合も

現在の事業の状況や今後のイメージによっては、個人事業主ではなく法人としてスタートした方が良い場合もあります。

3-1. 想定している事業規模が大きい方

副業等でなんらかの事業を既に行っており、「事業規模の拡大」を目的にフリーランスになることを検討されているという方もいらっしゃると思います。事業の収入がある程度安定しているのであれば、初めから法人としてスタートするのも良いでしょう。

事業規模が大きいと、資金の用意や事業経営が自分一人では難しい

事業資金の問題で出資や借入が必要な場合や、経営知識がなく共同出資者や従業員が必要な場合は会社設立が有利といえるでしょう。また、事業拡大を望む場合も、リスク軽減のため会社設立が有利です。

利益が多いなら法人化(起業)した方が節税になる

法人の支払う法人税は、法人の区分や課税される所得によって差がありますが、税率は15%~23.2%と比較的、幅が狭く、また税率の上限も低めです(その他に地方法人税等もあります)。

これに対して、個人事業主の支払う「所得税」の場合は、所得に応じて税率が上がり、稼げば稼いだ分だけ支払う税金高くなる傾向があります。「所得税」の税率は最高で45%と割高のため、収入が一定額を超えた時点で法人化を検討する個人事業主も多くいらっしゃいます。

事業等の移管手続きをしよう

個人事業主から法人化することを「法人成り」といいます。法人成りの際は、個人事業を営んでいた際の事業・資産・負債を新会社に移す手続きを行いましょう。

また、上記の移管手続きが終わったら、個人事業の廃業手続きを行います。青色申告をしていた場合や従業員を雇っていた場合は、それぞれ手続きが必要です。

3-2. 社会的信用を重視する方

大企業の場合、法人としか取引をしないこともあります。また、個人事業主と法人を比較した場合、法人の方が銀行融資をはじめとした資金調達の手段が広く開かれています。なぜでしょうか。

大きな理由としては、法人は公的機関に登記されている情報が多いため、信用度が高いということが挙げられます。詳しく見てみましょう。

企業によっては「与信調査」をした上で取引を決めることも

一部の企業では、トラブルを避けるために取引先の与信調査を行うことがあります。具体的にチェックされることが多いのは、公的機関に登記される以下の書類です。これらの書類からは、資本金の額、決算報告、商業登記簿、財務諸表などを把握することができます。

・決算書
・確定申告書
・履歴事項全部証明書(登記簿)

個人事業主と大きく違うのは、法人の場合は「履歴事項全部証明書(登記簿)」が公開される点です。この履歴事項全部証明書(登記簿)には、「本店の住所」「会社成立年月日」「目的」「資本金の額」「役員の氏名・住所」など、会社の詳しい内部情報が記載されています。

また、公的機関に記載されている情報が多いということ以外にも、法人であるということ自体に信用力があると考える人もいます。

3-3. 事業が行き詰ったときのリスクをできるだけ抑えたい方

法人には「有限責任」という特徴があります。借入金や仕入れ先への未払い金、未払いの税金などに関しての支払い責任は、基本的に出資金の範囲内に留まるという制度です。

たとえば資本金500万円・100%出資で設立した会社であれば、500万円までが社長個人の負債となり、それを超える金額については責任が発生しません。

この点、個人事業主は無限責任であるため、経営不振時のリスクは法人の方が有利といえるでしょう。

4. 法人の設立・運営にかかるお金のアレコレ

法人には、設立・運営に費用がかかるという特徴があります。何にどのくらいの費用がかかるのか具体的にチェックしてみましょう。

会社の設立(起業)にあたっては、登記費用や定款作成費用、資本金の用意などを合わせると、約25万円(株式会社の場合)の費用がかかります。

また、経営が赤字になったとしても、法人住民税の均等割は必ず支払わなくてはなりません。事務作業や税務関係の手続きを専門家に任せることも増えますので、そちらの依頼費用もかかります。

4-1. 会社を設立(起業)する時にかかる費用例

法人設立で費用が発生しうるのは、主に「定款作成」「設立登記」「銀行口座開設」「専門家報酬」「資本金の出資」などです。

定款作成

定款作成にかかる費用の目安は、以下を合計して9万円程度です。

定款印紙代 40,000円
公証人への定款認証手数料 52,000円(謄本取得代約2,000円)

設立登記

設立登記費用にかかる費用の目安は、以下を合計して7~16万円程度です。

法人印 約10,000円
登録免許税(株式会社:約15万円、合同会社:約6万円、一般社団法人:約11万円)

銀行口座開設

銀行口座開設費用については、どの形態の銀行を利用するかによって金額が異なります。
いわゆるメガバンクを利用する場合は2,000円~5,000円程度、ネットバンキングやネット銀行を利用する場合は無料で開設することができます。
(申請の際に添付する法人登記簿謄本、印鑑証明などは発行手数料がかかります)

専門家報酬

法人開設にあたって事務作業を専門家に依頼する場合は、以下の費用がかかります。

<専門家報酬>
10万円程度

資本金の出資

資本金は、現在1円から出資できるようになっています。
(以前は有限会社であれば最低300万円、株式会社であれば最低1000万円が資本金の下限でしたが、2006年より改定されました)

4-2. 社会保険料の負担

法人には社会保険への加入義務がありますが、これは従業員がいない1人法人であっても加入します。従業員視点でみれば社会保険は魅力的ですが、経営者の視点でみると場合によっては負担が多いことも。

健康保険料と厚生年金保険料は、会社が従業員の納める保険料を折半するためです。これを「労使折半」といいます。

また、新しく従業員を雇うと、都度期限内に必要な手続きを行う必要があります。事業の売上によっては、従業員数が多いことで却ってコストがかかる場合もあるのです。

5. 税金で比較する起業家と個人事業主

最後に、税金の面から個人事業主と起業家を比較してみます。ここまででご紹介した情報も含め、それぞれのメリット・デメリットを確認してみましょう。

5-1. 個人事業主が支払う所得税「超過累進税率」

個人事業主の支払う「所得税」と、法人(起業家)の支払う「法人税」では、それぞれ税率が異なります。

「所得税」の場合、「超過累進税率」が適用されます。この「超過累進税率」は、所得金額に応じて税率が上がる仕組みになっており、税率は最低5%、最高で45%です。収入が低ければ支払う税金を抑えられ、収入が多くなると支払う税金の金額が高くなるという点がポイントです。

5-2. 法人の場合、法人税が一定税率のため、売上が大きい場合はメリット

これに対して「法人税」の場合、中小法人ならば課税される所得が800万円以下は19%(15%※)、800万円超は23.2%となっています。
※2019年3月31日までの間に開始する事業年度について適用。

どんなに稼いでも最大で23.2%と、個人事業主の所得税率と比べて低めなため、継続して利益を上げられるようならば、法人化に分があります(その他に地方法人税等もあります)。

5-3. 法人(起業家)は赤字の場合でも7万円の住民税均等割が発生する

法人の場合、経営が赤字になったとしても、「法人住民税の均等割」を必ず支払う必要があります。東京都の場合、法人住民税の均等割は7万円です。

5-4. 経費にできる費用の種類は法人(起業家)の方が幅広い

法人には、個人事業主と比べて、経費にできる費用の幅が広いという特徴もあります。また、自分への給与を支払えるため、家族が事業を手伝っている場合は、家庭内で所得分散をした上でさらに給与所得控除制度を利用し、大きく節税することもできます。

5-5. 保険料の労使折半

法人には社会保険への加入義務がありますが、基本的に(※1)個人事業主にはありません。従業員を雇っている場合、その従業員の「健康保険料」「厚生年金保険料」は従業員と会社とで折半することになりますので、とりあえず支払う保険料を抑えたいという場合は個人事業主の方がメリットがあるといえます。(※2)

(※1 正社員従業員を5人以上(家族除く)を雇っていると義務がある)

(※2 ただし、厚生年金と比べ、国民年金の場合は将来的に受け取れる年金が少なくなります。また、社会保険に加入している場合は扶養家族の保険料が免除されますが、国民健康保険では一定の保険料を支払う必要があります)

※本記事は令和元年7月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

簡単4ステップ!スキルや経験年数をポチポチ選ぶだけで、あなたのフリーランスとしての単価相場を算出します!

※相場算出に個人情報の取得はおこないません。

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