フリーランスの収入見込みをチェック
起業とフリーランスの違い
近年、会社員時代の経験や自分の得意分野を活かして、フリーランスとして独立する人が増えています。同じく自分の意思で開業するものとして起業家と呼ばれる人たちも存在しますが、起業とフリーランスには、そもそもどのような違いがあるのでしょうか?
まず起業とは、会社を設立し、税務署に開業届を申請して初めて成り立ちます。中には飲食店やペットショップなど、公的な許可が必要な業種もあります。
これに対してフリーランスは、企業から依頼された作業をおこなう個人事業主を指します。フリーランスは基本的に申請や許可は必要なく、極端に言えばサラリーマンや主婦、学生が今日からフリーランスを名乗ることも可能です。開業届は不要ですが、確定申告の際に青色申告特別控除を受けたい場合は青色申告承認申請書の提出が必要です。
参考 : [手続名]所得税の青色申告承認申請手続|国税庁
終身雇用制度が崩壊し、働き方が多様化しつつある中で、フリーランスは新しい働き方の一つとして急速に広まりつつあります。
フリーランスの増加にともない、フリーランスとクライアントの仲介役となり案件を紹介するクラウドサービスも続々と登場しており、休日や空いた時間を利用して活躍することもできます。
また起業家とフリーランスの数についてですが、総務省統計局が行った平成29年の就業構造基本調査によると、起業家は約477万1000人となっています。フリーランスは正確な数をはかることが難しいですが、おそらく起業家の倍以上は存在していると言われています。
参照元 : 総務省統計局「平成 29 年就業構造基本調査 結果の概要」
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フリーランスのメリット・デメリット
フリーランスにはそれぞれメリット・デメリットが存在します。自由に働ける反面、思わぬ落とし穴もあるので注意が必要です。
メリット
フリーランスの大きなメリットといえば、やはり自由な時間や条件で働けることです。
会社員時代は朝から満員電車に揺られ、気の合わない上司や同僚と働くことで余計なストレスを溜め込み、そして夜は終電ギリギリまで残業の日々。そんな毎日のせいで、心身のバランスを崩してしまう方が決して少なくない世の中です。
しかしフリーランスであれば、稼働時間などの条件を調整することで、朝の通勤ラッシュとは無縁の生活が可能です。さらに在宅ワークの場合はそもそも通勤の必要がなく、自宅やカフェなど好きな場所で作業ができます。
また、会社員の場合はほとんどが固定給です。収入が仕事量や責任の大きさに見合わないと、次第に不満も募るものです。こうした待遇も、フリーランスとして実力を発揮することで、納得できる成果報酬を得られるようになるかもしれません。
そのほか、起業時と比べた場合のメリットでいえば、フリーランスになる際の手続きは負担が少ないのがメリットです。
詳しくは後述しますが、フリーランスになる際の主な手続きは、「個人事業の開業・廃業等届出書」(必須ではない)や「所得税の青色申告承認申請書」(青色申告を行いたい場合)の提出です。
参考 : [手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
参考 : [手続名]所得税の青色申告承認申請手続|国税庁
関連記事 : フリーランス(個人事業主)のメリット
デメリット
魅力的なメリットに満ちたフリーランスですが、いいことばかりではありません。いくつかのデメリットも存在します。
フリーランスは個人事業主であり、成果をあげた分だけ報酬を受け取れます。それは裏を返せば、案件を受注できないと収入がゼロになってしまうことを意味します。
フリーランスとして安定するまでには、多かれ少なかれ時間がかかります。その間どうやって生活を成り立たせるか、もし失敗してしまった場合どうやってリカバリーをはかるかが難しいところです。
フリーランスは自由に働ける反面、会社という大きな後ろ盾がないためもしもの時の拠り所がない点が最大のデメリットと言えます。
関連記事 : 個人事業主のデメリット
起業のメリット・デメリット
起業した場合のメリット・デメリットは下記のとおりです。
起業のメリット
起業した場合、所得が多くなるほどフリーランスに比べて節税につながるのがメリットです。節税できれば、その分手元に残る金額を増やせます。
ここでは個人の所得にかかる所得税と法人の所得にかかる法人税について、それぞれ特徴をご紹介します。
特徴 | 対象 | |
---|---|---|
所得税 | 所得が多くなると税率も高くなる(最大45%) | 個人(※1)の所得 |
法人税 | 税率は法人の区分によって決まる(最大23.2%)(※2) | 法人の所得 |
※1 : 「個人」の例 : 会社員、フリーランス(個人事業主)など
※2 : 別途、法人住民税などがかかります
フリーランスの場合、基本的に所得が増えるにつれて納める所得税額も高くなりますが、起業家は法人の区分ごとに法人税率が決まるため、所得が多ければ起業家の方が節税につながります。
ただし、所得税率は最低5%からであるのに対し、法人税率は一番低い法人の区分であっても最低15%かかります。利益が少ないうちは、フリーランスの方が節税につながることを念頭に置きましょう。
参照元 : No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁
参照元 : No.5759 法人税の税率
起業のデメリット
フリーランスになる場合と比べると、会社設立前後の作業・手続きの負担が大きいのがデメリットです。当記事では株式会社を設立する場合を想定し、必要な作業・手続きの例をご紹介します。
株式会社の設立前に行うこと
株式会社を設立する前の準備は、下記のとおりです。
・会社の商号(※1)や所在地、事業内容などの決定
・会社用の印鑑(※2)の用意
・定款(※3)の作成、認証
・出資金(※4)の払い込み
・登記申請書類(※5)の提出
※1 会社名のこと
※2 実印、銀行印、角印の3種類
※3 事業目的や所在地などの基本規則をまとめたもの
※4 会社設立時の費用として株主から受け取る資金のこと
※5 登記とは、会社を公表し取引の安全を保つための手続き
株式会社の設立後に行うこと
株式会社を設立してからは、下記の手続きを行います(従業員を雇わない場合を想定)。
手続き | 手続きを行う場所 |
---|---|
「法人設立届出書」の提出 | ・税務署※1 ・都道府県税事務所 ・市区町村役場※2 |
「登記事項証明書」と「印鑑証明書」の取得 | 法務局 |
法人用の銀行口座の開設 | 金融機関 |
健康保険・厚生年金保険 新規適用届」の提出 | 年金事務所 |
※1 青色申告を行いたい場合、「青色申告の承認申請書」も提出します。
※2 市区町村によっては、提出不要の場合があります。
株式会社の設立前後の手続きは専門性が求められるため、内容に応じて司法書士や行政書士、税理士などの専門家に依頼するのも一つの方法です。
参考 : 個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき|国税庁
参考 : [手続名]内国普通法人等の設立の届出|国税庁
参考 : 登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式 : 法務局
参考 : 新規適用の手続き|日本年金機構
関連記事 : 法人化(法人成り)のメリット・デメリットをFPが解説
フリーランスになる際の注意点
憧れのフリーランスとして開業してみたは良いものの、予想外の事態が発生し、戸惑う方も多いようです。
起業を考えているフリーランス志望の方へ、主な注意点をまとめてみました。
会社員の間に必要な手続きを済ませておく
会社員と比べて、フリーランスという立場はどうしても社会的な信用度が低くなりがちです。
そこで会社員の間に、クレジットカードや不動産契約、ローン契約や切り替えなど、お金や信用に関わる手続きを済ませておきましょう。今まで組んでいたローンが、フリーランスになって継続できなくなっては大変です。
保険や税金関係の手続きをおこなう
フリーランスといえど、国民には納税の義務があるため所得税や住民税などの税金を払う必要があります。会社員時代は会社の経理担当に全部任せていたことを、フリーランスになると自分でおこなわなければなりません。年度末の確定申告が代表的な例です。
また会社の社会保険から外れるため、国民健康保険や国民年金への切り替え手続きも必要です。
フリーランスとしての活動準備を始める
フリーランスは個人での活動となるため、自分を売り込むための準備は欠かせないところです。
多くのフリーランスが実践しているのが、SNSやブログでの宣伝、屋号や名刺の作成です。
SNSやブログをこまめに更新し、オンラインを常にアクティブな状態にしておくことが信頼にも繋がります。
また名刺一つをとっても、デザインや色、フォント、ちょっとしたメッセージ性のあるテキストを載せるなどさまざまな工夫をして、名刺を渡す相手にインパクトを与えることがポイントです。
個人事業主であるフリーランスは、行動のほとんどが自己責任となる職種です。開業する前に必要なことを確認し、万全の状態でスタートを切りましょう。
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※本記事は201910月時点の情報を基に執筆しております。
最後に
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※相場算出に個人情報の取得はおこないません。