フリーランスの引っ越し手続きガイド!入居審査通過のポイントも紹介 | レバテックフリーランス
フリーランスの引っ越し手続きガイド!入居審査通過のポイントも紹介
フリーランスの引っ越しは、税務署や役所での手続きが複数あり、会社員よりも面倒なものです。しかし、確実に行わないと確定申告や保険などのトラブルにつながります。
そこで、フリーランスの引っ越しに関する手続きすべてをわかりやすく解説します。 フリーランスだと難しいとされる入居審査に通るためのポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
フリーランスが活用できる助成金や補助金についてはこちらの関連記事で紹介しています。何かと入用の引っ越しに際して、ぜひ資金繰りにお役立てください。
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目次
フリーランスに特有の引っ越し手続き一覧
フリーランスに特有の引っ越し手続き一覧を以下にまとめました。
ここでは、これらの詳しい内容について解説していきます。
国民健康保険に関する手続き
国民健康保険の管轄は、住んでいる市区町村の役場なので、引っ越し先は役場に知らせます。引っ越しで市区町村が変わるか否かで手続きが異なるため、それぞれに分けて解説します。
同一市区町村内で引っ越しをする場合
同一市区町村内で引っ越しをする場合は、引っ越しから14日以内に住所変更を行うのみです。以下のものを準備し、該当の市町村の役場窓口で申請を行います。
- 国民健康保険証(家族がいる場合家族の分も)
- 本人確認書類
- 印鑑
代理人に任せるときは、代理人の印鑑を押した委任状と代理人の本人確認書類が必要です。
異なる市区町村へ引っ越しをする場合
異なる市区町村へ引っ越しする場合、引っ越し前後のそれぞれの役場で手続きが必要です。
手続きを行う場所 | 手続内容 | 期限 |
---|---|---|
引っ越し前の住所の役場 | 国民健康保険喪失の手続き | 引っ越しの14日前~引っ越し後14日以内 |
引っ越し後の住所の役場 | 国民健康保険の加入手続き | 引っ越しをした日から14日以内 |
なお、「国民健康保険の加入手続き」は事前に行えないため注意してください。
引っ越しで納税地変更になった際の手続き
税金は管轄地域の税務署に支払うため、引っ越し納税地が変わった場合、届け出が必要です。提出が必要な書類は下記の4点です。
- 所得税(消費税)の納税地の異動又は変更に関する届出書
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
- 国保組合(組合国保)の住所変更の届出
納税地は国税庁のHPで確認できます。住所・郵便番号を入力すると管轄の税務署が表示されます。
所得税(消費税)の納税地の異動又は変更に関する届出書
引っ越しで納税地が変更になる場合、「所得税・消費税の納税地異動に関する届出書」の提出が必要です。「所得税・消費税の納税地異動に関する届出書」は国税庁のHPよりダウンロードできます。
提出先は引っ越し前に住んでいた地域の税務署です。提出期限はありませんが、忘れないうちに提出しましょう。
引用元 : 所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書|国税庁
振替納税とは、口座引落しで国税を納付する制度です。現在振替納税を行っていて、引き続き希望する場合は、該当欄で「はい」を選択します。「はい」を選択すれば、「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」の提出と再手続きは不要になります。
住所・居所・事業所等の区分は以下から選択してください。
住所地 | 実際に住む住民票と同じ場所 |
---|---|
居所地 | 住民票の住所地ではない、 一時的に住んでいる場所 |
事業所 | 事務所や店舗など事業を行っている場所 |
なお、住居地を事務所にしている場合は、一般的には「住所地」を選択します。
個人事業の開業・廃業等届出書
「個人事業の開業・廃業等届出書」は事務所の場所の変更を知らせる届け出です。国税庁のHPよりダウンロードでき、フリーランスを始める際に書くいわゆる「開業届」と同じです。
引用元 : 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
事業内容や開業日などは以前と同じ内容を記入し、事務所の移転先住所に引越し先の住所を記載します。提出先は、引っ越し後に住む納税地の所轄税務署です。
提出期限は、引っ越し先で事業を始めた日から1カ月以内のため、早めに提出しておきましょう。
なお、自宅と事業所が別にあり、自宅のみの引っ越しで事業所に変更がない場合は必要ありません。
住所・居所・事業所等の区分は以下から選択してください。なお、住居地を事務所にしている場合は、一般的には「住所地」を選択します。
住所地 | 実際に住む住民票と同じ場所 |
---|---|
居所地 | 住民票の住所地ではない、 一時的に住んでいる場所 |
事業所 | 事務所や店舗など事業を行っている場所 |
所得の種類は一般的に「事業所得」ですが、不動産投資をメインとした活動をしている場合は「不動産所得」を選択します。
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」は給料を支払っているフリーランスが、支払う場所の変更を知らせる書類です。一人でフリーランスをしており、誰にも給与を支払っていない場合は提出の必要はありません。
「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」は、国税庁のHPよりダウンロードできます。提出先は、引っ越し先の納税地の所轄税務署です。提出期限は、引っ越しから1カ月以内です。
引用元 : 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書|国税庁
従業員を雇っている場合は、以下の2点の提出も必要です。
- 適用事業所 名称/所在地変更(訂正)届
- 健康保険・厚生年金保険事業所関係変更(訂正)届
忘れないよう「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」と合わせて用意し、提出しましょう。
国保組合(組合国保)の住所変更の届出
市町村の役所に届け出て受け取る国民健康保険だけでなく、国保組合(組合国保)の場合も住所変更の届出が必要です。
たとえば、文芸美術国民健康保険組合の場合、住所変更届と住民票、被保険者証カードの提出が必要です。細かい手続きは国保組合(組合国保)によって違うため、加入する国保組合(組合国保)に確認してみましょう。
国民年金に関する手続きで必要な書類
国民年金の第一号被保険者は、引っ越し先の市区町村の窓口や年金課で、住所変更の手続きを行いましょう。手続きの期限は引っ越しから14日以内です。
なお、マイナンバーと基礎年金番号が結びついている場合、基本的に届出は不要です。自分のマイナンバーと基礎年金番号が結びついているかは、「ねんきんネット」や、年金事務所などでチェックできます。
国民年金に関する手続きには、以下の2点の書類が必要です。
- 健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届
- 健康保険・厚生年金保険適用事業所関係変更(訂正)届
それぞれ解説していきます。
健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届
「健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」は、厚生年金が適用される事務所の名称や住所変更の書類です。日本年金機構のHPよりダウンロード可能です。引っ越し先の年金事務所の窓口に持参するか郵送、電子申請します。
提出期限は引っ越しから5日以内と、ほかの書類に比べて期限が短いため、注意してください。
引用元 : 適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄内の場合)|日本年金機構
提出の際は、以下の書類が必要です。
- 事業主の住民票のコピー
- 公共料金の領収書のコピー
なお、上記の書類の発行日は、提出日からさかのぼって90日以内に発行したものでなくてはいけません。
健康保険・厚生年金保険適用事業所関係変更(訂正)届
「健康保険・厚生年金保険事業所関係変更(訂正)届」も、事業主の連絡先が変更になった際に提出する書類です。日本年金機構のHPよりダウンロード可能です。記入後は、引っ越し先の管轄する年金事務所の窓口に持参するか郵送、電子申請で提出します。
引用元 : 事業主の変更や事業所に関する事項の変更(訂正)があったとき|日本年金機構
なお、法人ではない場合、ほかの書類は不要です。提出期限は引っ越しから5日以内と、ほかの書類に比べて期限が短いため、注意しましょう。
マイナンバーカードに関する手続き
マイナンバーカードでも、住所を含む個人番号を管理しています。引っ越しで住所が変わった場合には変更の手続きが必要です。期限は引っ越し日から14日です。
引っ越し先の市区町村の役場の窓口で、カードの追記欄へ引っ越し先の住所を記載します。この変更によって、マイナンバーカードが再発行されることはありません。
フリーランスの住所変更手続きについて詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
住所変更手続きをしたい個人事業主必見!必要書類の書き方や注意点を解説
フリーランスの引っ越しは条件次第で経費にできる
フリーランスの引っ越しは、基本的に事務所として使用している分が経費計上できます。事務所と自宅の使用状況で経費の割合が変わるため、以下の表を確認してみましょう。
物件の利用状況 | 引っ越し状況 | 経費計上可否 |
---|---|---|
自宅・事務所が異なる | 事務所のみ | 全額経費計上可能 |
自宅兼事務所 | 事務所部分のみ | 全額経費計上可能 |
自宅兼事務所 | 自宅部分のみ | 全額経費計上不可 |
自宅兼事務所 | 自宅・事務所両方 | 一部経費計上可能 |
要するに、事務所部分の引っ越しは事業に関わるため経費にできるわけです。自宅兼事務所から別に事務所を持ち、自宅はそのまま住居専用として住み続ける場合も、同様に経費計上可能です。
新たに自宅兼事務所へ引っ越す場合は、事業に使用している部分のみ経費にできます。このケースでは、事務所の利用割合を算出し、その分のみが対象になります。
なお、引っ越し費用として経費計上できる項目は以下のとおりです。
- 引っ越し業者に支払う料金
- 礼金
- 粗大ごみなどの処理費用
- 火災保険・地震保険
- 仲介手数料
- 内装等の解体費用
- 荷造運賃
- 管理費(賃料)
- 交通費(引っ越し先を探すときなど)
- 鍵の交換代
上記のものであっても、基本的に領収書やレシートがないと経費として認められません。ただし、電車の切符やバスの運賃など、領収書が発行されない費用は、自分で出金伝票を作成すればOKです。
フリーランスが引っ越しの入居・賃貸審査に通る方法
フリーランスが一般的に入居審査に通りにくいといわれる理由として、収入の不安定さがあります。そのため、家賃の支払い能力を証明し、信頼を得るのが重要です。具体的には、以下のような方法が挙げられます。
- フリーランス特化の不動産会社を活用する
- 手取り4分の1以下の家賃の物件をねらう
- 貯金や収入が安定していることを証明する
- 連帯保証人を立てる
それぞれのポイントを解説するので、参考にしてください。
フリーランス特化の不動産会社を活用する
フリーランスの増加にともない、フリーランスに特化した不動産会社が増えています。フリーランスに理解のある大家さんのいる物件を多く取り扱っている場合が多いです。
また、社会的信用度が低いと考えられがちなフリーランスでも適切な評価をしてくれる不動産会社はあります。なかなか入居審査に通らない場合やフリーランスになりたての場合は、フリーランス特化の不動産会社を活用してみましょう。
手取り4分の1以下の家賃の物件をねらう
フリーランスの場合、手取り収入の4分の1以下の家賃の物件をねらうのがおすすめです。
一般的な家賃の適正金額は、「月の手取り3分の1以下」といわれています。しかし、収入が不安定というイメージがあるフリーランスは、家賃を抑えたほうが審査に通りやすいのが実情です。
収入に対して家賃が高いと、収入がなくなったり減ったりしたときに払えないと思われる恐れがあります。したがって、手取り収入の4分の1以下の家賃であれば、審査に通りやすくなるでしょう。
貯金や収入が安定していることを証明する
貯金や収入の安定性を証明できれば、フリーランスの入居審査のハードルは下がります。証明となる書類は以下のとおりです。
収入証明書名 | 発行できる場所 |
---|---|
住民税課税証明書 | 役場・コンビニ |
確定申告書の控え | 役場・税務署 |
納税通知書 | 毎年6月ごろに自宅に郵送される |
納税証明書 | 税務署 |
なお、どの書類が収入や貯金の証明になるかは物件によって違うため、事前に確認して発行しましょう。
連帯保証人を立てる
フリーランスの入居審査では、連帯保証人を立てるのも有効です。フリーランスが審査に通りにくい理由の1つである収入の不安定さを、連帯保証人を立でカバーできます。
連帯保証人は両親や兄弟、祖父母など、近しい間柄が望ましいです。場合によっては、保証会社と連帯保証人どちらも必要になることもあるため、事前に不動産屋に確認しておきましょう。
会社員の内に引っ越しを済ませるのがおすすめ
現在会社員として働いているのであれば、フリーランスになる前に引っ越しするのがおすすめです。フリーランスは会社員に比べると入居審査に通りにくいため、会社員のうちに賃貸契約をしたほうが、審査に通りやすいと考えられます。
もちろん、フリーランスになってからでも審査には通れます。ただし、審査に通るコツやチェックされるポイントはおさえておく必要があります。詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
フリーランスの賃貸契約のポイント|なりたてで審査に通る方法も解説
引っ越しの手続き時にフリーランスが注意したい点
フリーランスが引っ越し手続きをする際は、各種書類は控えの保管や提出期限に注意しましょう。それぞれの注意の有無でどのような違いが出てくるか具体的に解説していきます。
各種書類は控えを保管しておく
各種申請書類の控えは、捨てずに保管し、保管場所もしっかり把握しておきましょう。引っ越しの際に申請した書類は、提出したまま返却されないものもあるため、コピーをとっておくべきです。
控えを保管しておけば、何かあったときに確認できます。ほかの手続きで確認が必要になることもあるので、問い合わせる手間を省くためにも残しておきましょう。
提出期限を守る
引っ越しの手続きに限ったことではありませんが、提出期限は厳守しましょう。期限を守れなかった場合、税務などの重要書類が届かなかったり、手続きがスムーズに行われなかったりします。
また、直前に慌てて書類を作成すると、記入漏れや誤字脱字などのミスのリスクが上がります。修正で期限に間に合わなくなる恐れもあるので、なるべく早めの準備を心がけましょう。
開業から住所が変わったことを通知する手続き
フリーランスが引っ越しで開業時の住所が変わった手続きをするには、窓口・郵送・e-Taxの3つの手段があります。それぞれの手段の利用方法や概要について紹介していきます。
各種窓口を利用する
自分の住所の管轄となる市町村の役場や税務署、年金事務所の窓口へ直接書類を持っていく方法です。実際に行く手間はありますが、不明点を職員に確認しやすいため、慣れていない人には良い手段でしょう。
さらに、添付資料は現物をその場で見せるだけで済むものも多いため、郵送と比べるとコピーの手間が省けます。ただし、窓口の受付時間は土日や夜間に対応していないところも多く、時間内に行くのが難しいのがデメリットです。
郵送する
郵送の場合、受付時間を気にせずに自分のタイミングで送れます。ただし、各種添付資料としてのコピーや送料などがかかります。
また、宛先の間違いにも注意が必要です。郵送の場合でも提出期限は変わりません。消印ではなく到着時点で提出したとみなされるため、到着までの時間を考えた提出が必要になります。
なお、転居届は郵送での提出はできません。直接窓口に提出しなくてはならないので、気をつけましょう。
e-Taxによる電子申請を活用する
e-Taxによる電子申請には、窓口に直接持っていく手間や郵送での到着時間での不安といったデメリットがありません。
ただし、e-Taxで住所変更する場合、新しい電子証明書の発行が必須です。電子証明書は、引っ越し前の登記所窓口で事前に発行しておく必要があります。
なお、e-Tax手続きが可能な書類は以下のとおりです。
- 所得税・消費税の異動に関する届出書
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
e-Taxによる電子申請では、添付書類は不要です。どこにいても24時間申請ができるのもメリットといえるでしょう。
フリーランスの引っ越しに関するよくある質問
フリーランスの引っ越しに関するよくある質問をまとめました。
Q. フリーランスは引っ越し後いつまでに申請手続きをすべき?
「個人事業の開業・廃業等届出書」の手続きは引っ越した日から1ヶ月以内です。引っ越し後に提出すべき書類や手続きはほかにもあり、国民健康保険や国民年金の手続きは14日以内に行う必要があります。
Q. フリーランスが引っ越し後に住所変更をしないとどうなる?
フリーランスが引っ越し後に住所変更の手続きを行わなかった場合、支払うべき税金が引き落とされずに未納となる恐れがあります。未納になれば、延滞税が発生するほか、税務などの重要書類が届かないなどのリスクも考えられます。
※本記事は2023年9月時点の情報を基に執筆しております。
最後に
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