独立を考えるなら知っておきたい
個人事業主が税金を考える上で欠かせない経費と控除の基本

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エンジニアとして就職しキャリアを積めば、自然と考えるようになるのが「独立」。

会社員から個人事業主になると、収入や時間などの面で多くのメリットはありますが、その一方で、自分でやらなければいけないことも出てきます。

そのなかでも象徴的なものといえば、やはり確定申告でしょう。

確定申告というとどうしても面倒なイメージがありますが、売上や経費、所得といった数字の流れをつかむことは、自分の事業を把握することにもなります。

そこで今回は、個人事業主にとっての税金の全体像を知るというテーマで、税金の種類や節税のために欠かせない経費や控除(青色申告所得・控除所得控除)について見ていきましょう。


◆この記事の監修
あおば会計事務所 共同代表
税理士
小池 康晴氏
IT関連の企業やフリーランス(個人事業主)の顧客を多く持ち、それぞれのニーズを重視した税務アドバイスとコンサルティングを行う。IT業界の税務や新しいサービスの動向などにも精通している。
http://aoba-kaikei.jp/index.html

※本記事は2017年3月時点での内容です
 

0. 目次

1. 個人事業主が納める税金とは?
2. 節税するためのポイント①――経費
3. 領収書やレシートは経費の大切な根拠
4. 節税するためのポイント②――控除(青色申告特別控除および所得控除)
5. 税金で困ったときに便利な相談先
 

1. 個人事業主が納める税金とは?

個人事業主が納めるべき税金の種類は、所得税、住民税、個人事業税、消費税の4つ。それぞれ納付時期は以下の通りです。











※納付期限は土日や休日の関係でずれることがあります

この4つのうち、個人事業主が一番意識する税金は、やはり確定申告というイベントが関わってくる所得税でしょう。所得税は、文字通り所得にかかる税金のことですが、ここで収入と所得について確認しておきましょう。
 

所得税

1年間の事業売上の合計が「総収入」ということになりますが、これにすべて税金がかかるわけではありません。事業を行う際には、さまざまな「経費(必要経費とも)」がかかってきます。経費の内容については後述するとして、総収入から必要経費を引いたものが「事業所得」です。この事業所得から後述する「青色申告特別控除」と「所得控除」と呼ばれる費用を差し引いた金額を「課税所得」といいます。

確定申告の際には、ここまでの計算がきちんとできていれば、あとは正確に記入していくことで、所得に応じた税率と税額控除額が自動的に適用され、納める税金が算出されます。税率と税額控除額は以下の通りです。
















※平成25年~平成49年の間は、復興特別所得税を所得税と併せて納付する必要があります。
(参考)国税庁ホームページ 所得税の税率

例えば、課税所得が300万円なら税率10%で30万円、そこから9万7500円が控除されて20万2500円が税金ということになります。

なお、受け取るギャランティの種類によっては、支払いを受ける際にあらかじめ源泉徴収されていることもあります。その場合、源泉徴収された総額と納付する税額と比べ、源泉徴収された額の方が多ければ差額が「還付金」として戻ってきますし、源泉徴収された額の方が少なければ追加で納税することになります。

ここまでをまとめておきましょう。

①「総収入」から「経費」を引いた金額が「事業所得」
②「事業所得」から「青色申告特別控除」「所得控除」を引いたものが課税対象の「課税所得」
③「課税所得」に応じた税率と上記の表にある「控除額」が適用されたものが納める「税金」
 

その他の税金(住民税、個人事業税、消費税)

住民税は自分が住んでいる市区町村に納める税金で、個人事業税は事業所得を得ている人に納付義務がある税金です。この2つについては行政から税額の通知があるので、自分で計算する必要はありません。

なお、請負契約ではなく、企業に常駐して作業をするような準委任契約の場合、原則的に個人事業税がかからないというケースが多いです。

個人事業税の対象となるかどうかは、都税事務所や区役所などから届く「お尋ね」への回答で判断されます。「お尋ね」が届いても回答しなかった場合、本来ならば個人事業税の対象でなかったとしても個人事業税が課されることもありますので、きちんと回答するようにしましょう。

また、ものを買う場合だけでなく、個人事業主が得た所得にも8%の消費税はかかってきます(正確には、2年前の事業売上が1000万円を超えた場合)。個人事業主になっていきなり1000万円を超える売上があるケースはまれでしょうから、売上が伸びるにしたがって意識していくといいでしょう。

2. 節税するためのポイント①――経費

前項でも紹介したように、総収入から経費を引いたものが事業所得で、そこから青色申告特別控除(青色申告時)と所得控除を差し引いたものが課税対象の所得です。

所得を低く抑えることができれば、税率も低くなりますし、住民税や国民健康保険などの公的保険料なども安くなります。そのため、節税のポイントのひとつは、経費を上手に計上し、使える控除をしっかり利用して所得を「下げる」ことです。

そこで、まずは経費の基本を紹介いたします。
 

経費として認められる費用とは?

必要経費として認められるものと認められないものの違いですが、端的にいってしまえば「仕事に関係があるかないか」ということです。ただ、個人事業主になりたてのころは迷いがあるかもしれません。

そこでひとつの目安になるのが、確定申告で使う「所得税青色申告決算書」です。ここに記入する欄があるということは、当然ながら経費として認められるということ。決算書は国税庁のホームページからダウンロードできます。

所得税青色申告決算書(PDF)

これを見ると、旅費交通費や接待交際費、消耗品費などのほか、外注工賃や水道光熱費なども必要経費として計上できることがわかります。

個別の項目については、以前にレバテックで取り上げたことがありますので、以下の記事をチェックしてみてください。

「これも経費に?個人事業主(フリーランス)が知っておきたい経費になるもの・ならないもの」
 

家賃や水道光熱費を経費とする上で欠かせない「家事按分」

先ほど、水道光熱費も経費として認められるという話が出てきましたが、電気代や水道代がすべて対象になるわけではありません。ここで知っておきたいのが「家事按分」という考え方です。上記のレバテック記事でも少しだけ触れているのですが、あらためてここで触れておきましょう。

個人事業主が自宅で仕事をするケースでは、家賃や光熱費などが仕事とプライベートで混在しています。このとき、事業に使用したぶんを家計から区分することを按分といいます。

按分を水道光熱費全体の何%くらいにするかは決まりがあるわけではなく、判断は各自に委ねられています。家賃なら広さで仕事部屋の割合を適用したり、電気料金なら仕事をしている時間で分けたりするといいでしょう。

難しいのは、ガスや水道です。エンジニアの場合、ガスも水道も事業そのものには関係ないので、按分するのは諦めるか、するとしても少なめにしておくほうが無難です。

いずれにせよ、家事按分で欲張ると、いざ税務署から調査された場合に不利になってしまいます。必要経費は多いほうがいいとはいえ、やはり常識の範囲内で判断することをおすすめします
 

3. 領収書やレシートは経費の大切な根拠

必要経費と深く関連する要素として、領収書やレシートについても見ておきましょう。

収入から必要経費を引いたものが事業所得になるのですから、正しく確定申告するには、正しく経費を計算する必要があります。そのために必要なのが領収書やレシート。いわば、自分の所得を申告する際の根拠になるものだと位置づけることができます。

そんな領収書やレシートについての注意点やポイントを以下にいくつか挙げておきます。
 

領収証orレシートどちらがいいの?

まずは、「領収書とレシートはどちらがいいの?」という点からです。近年はレシートでも問題はないという解釈が多くなっているようですが、必要経費の根拠と考えると、やはり領収書をもらえるときにはもらっておくほうが無難だといえます。

その際、宛名書きが「上様」であったり、宛名がない領収証であっても、経費の証明として使えますが、きちんと名前や屋号名が入った領収証の方が好ましいです。
 

領収証やレシートの保管期間は5or7年間

次に、整理と保管についてです。領収書やレシートは、確定申告時には提出義務がないので、整理がずさんになりがちですが、税務署の調査が入った場合はすみやかに提出する必要があります。白色申告の場合は5年間、青色申告の場合は7年間の保存義務があるので、年度ごとにまとめておくなど、きちんと整理しておきましょう。
 

領収証やレシートをもらいにくいケースでは出金伝票という手段も

領収証やレシートは、必要経費を計算する際に必要なものですが、ときには領収証を発行してもらうことが困難な状況もあります。例えば、仕事関係の冠婚葬祭の費用であったり、勉強会やセミナーのあとに催されるラフな懇親会の費用であったり。こういったケースで覚えておきたいのが「出金伝票」です。

出金伝票とは、事業に関連する出費を記録しておくもので、書式の決まりはありませんが、①支払日、②相手の名称、③金額、④支払いの目的や品物などの内容の4つが記載されている必要があります。

出金伝票は、いってみればメモのようなものなので、冠婚葬祭なら案内状、勉強会やセミナーのあとの懇親会なら参加申し込みのメールなど、裏付けになるものとセットで保管するとなおいいでしょう。
 

高額な領収証には印紙が必要?

領収証について調べていくなかで、「5万円以上(税抜)の領収証には印紙の貼付が必要」といった内容を目にしたことはないでしょうか?こういった記述を見て、「高額の領収証があるけれど、印紙がないから経費には入れられないのか…」と思う方もいるかもしれません。

ですが、「印紙の貼付が必要」なのは領収証を発行する側の話で、領収証を受け取る側としては印紙の有無は関係なく出費の証明として使えますのでご安心を。

 

4. 節税するためのポイント②――控除(青色申告特別控除および所得控除)

経費と並び、節税に欠かせないもうひとつのポイントが控除です。先述したとおり、事業所得から差し引く費用として「青色申告特別控除」と「所得控除」があります。
 

青色申告特別控除

青色申告特別控除は、自分で帳簿を作成することで、最大65万円の控除が受けられる制度です。帳簿をつけるなんて手間だと感じるかもしれませんが、独立時に「帳簿はつけるもの」という意識でスタートしてしまえば、意外と慣れてしまうものです。むしろ、売上の少ない独立直後は負担が少なく、帳簿をつける練習には最適といえるかもしれません。
 

所得控除

所得控除は各々の事情を考慮して税負担を軽くするためのもの。所得控除には合計14種類のカテゴリがあり、それぞれ控除額、計算方法などが異なります。ここでは、個人事業主にとって魅力のある制度であり、節税効果にも期待できる小規模企業共済を紹介します。

小規模企業共済は、個人事業主の退職金代わりになる共済制度です。掛け金は月額1000円から7万円の間で自由に設定でき、あとからの変更も可能です。所得控除のひとつである「小規模企業共済等掛金控除」の適用を受けることで、この掛け金が全額控除されるため、将来に向けた積み立てをしつつ、節税効果も期待できるというわけです。

小規模企業共済等掛金控除以外にも、個人事業主が利用できる主な控除については、別記事でも取り上げていますので、ぜひ参考にしてみてください。

「最大◯◯円の控除が受けられる!フリーランス(個人事業主)のための、お得で賢い節税対策入門」
 

5. 税金で困ったときに便利な相談先

今回の記事は、納税の全体像が俯瞰でわかるよう、なるべく基本的なことに絞ってみましたが、細かいところを見ていけばきりがありませんし、青色申告を選択するなら帳簿の書き方を覚えるなど、知識をつける必要も出てくるでしょう。

そんなときに便利なサービスを以下にまとめました。

税務署/電話相談センター:全国の所轄税務署が確定申告に関する相談や問い合わせに対応。

税理士会/無料相談会:全国の税理士会で、税理士による無料相談会を実施。URLは日本税理士連合会と連携した日本税務研究センターのもの。Webサイトから予約も可。

全国青色申告会総連合:小規模事業者で構成される全国納税団体。会費はかかるが、入会するとさまざまなサポートが受けられる(会費は地域による)。

また、レバテックでも税理士紹介サービスを行っており、確定申告代行を通常の半額で依頼できます。忙しくて自分で調べる余裕のない方や、プロにお願いしたいという方はぜひご相談ください。

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