インフラエンジニアのキャリアパス|転職の選択肢や資格、女性のキャリア形成を解説

インフラエンジニアは、ITサービスが成り立つ基盤を取り扱います。キャリアアップのためや、スキルアップのために関連資格の取得を検討している人も多いでしょう。インフラエンジニアには近年、クラウドの知識も必要となってきており、クラウドに関する資格も多くの人が取得を目指しています。今回はインフラエンジニアの資格について、クラウド系などおすすめの資格一覧と難易度を含めご紹介します。

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インフラエンジニアのキャリアパス

ネットワークやサーバーといったITインフラの設計、構築、運用保守・監視などの業務を行うインフラエンジニアのキャリアパスには、大きく分けて下記のような選択肢があります。

  • 転職してキャリアチェンジする
  • インフラエンジニアからキャリアアップする

インフラエンジニアのキャリアアップには、専門性を高めてスペシャリストを目指す、経験を積んでマネジメント・ゼネラリスト系の職種を目指す、インフラエンジニアの経験を活かせる職種にキャリアチェンジするといったコースがあります。

※参考:経済産業省・IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「職種の概要と達成度指標(6)ITスペシャリスト」

そのほか、Webサイトやスマホアプリなどを開発するシステムエンジニア、社内SEなどへの転職、ITアーキテクト・ITコンサルタントといった職種へのキャリアアップをはじめ、インフラエンジニアはキャリアビジョンに合わせてさまざまなキャリアパスの選択肢が考えられます。

転職してキャリアチェンジする

インフラエンジニアは、転職によりキャリアチェンジをすることができます。ただし、どのような職種でも転職しやすいというわけではなく、インフラエンジニアのスキルを活かせる職種を選ぶことが大事になるでしょう。インフラエンジニアから転職してキャリアチェンジしやすい仕事としては、下記のような職種が挙げられます。

  • 社内SE
  • セキュリティエンジニア
  • フリーランスとして独立
社内SE

「社内SE」とは、企業の情報システム部(情シス)などに所属し、自社のシステムの企画、開発、保守などを担当するエンジニアのことです。

企業の社内システムの開発には、サーバーやネットワークなど、インフラの開発も含まれます。また、社内のインフラの設定変更、保守などの仕事もあり、インフラエンジニアのスキルを活かしやすい職種のひとつといえます。社内SEの中には、自身は開発に携わらず、外部に開発業務を委託するケースもありますが、そのような場合でもインフラエンジニアとしての要件定義や設計、あるいはプロジェクトのマネジメントなどの実務経験が役立つでしょう。

関連記事:社内SEとは|仕事内容やメリット・デメリット、転職のポイントを解説

セキュリティエンジニア

「セキュリティエンジニア」とは、情報セキュリティに特化したエンジニアのことです。企業のシステムをサイバー攻撃から守るために、システムのネットワークやサーバーなどに対して、セキュリティ対策を講じる役割を担います。

インフラエンジニアは、ネットワークやサーバーの開発においてセキュリティを考慮した設計を行う必要があるため、セキュリティエンジニアになった際にも、培ってきた経験やスキルを活かせるでしょう。

関連記事:セキュリティエンジニアとは?仕事内容やフリーランス事情を解説

フリーランスとして独立

インフラエンジニアのキャリアパスには、ほかの企業への転職や違う職種へのキャリアアップだけでなく、「フリーランスとして独立する」という方法もあります。インフラエンジニアとしての一定のスキルと経験があれば、独立することも可能です。

実績やスキルによっては会社員より高い報酬を得ることも可能ですが、その代わり基本的に自ら営業して案件を探す必要があるため、受注を安定させなくてはなりません。また、スキルや人脈がないと、案件が見つからずに収入を絶たれるというリスクもあります。案件を継続して受注するためには、独立前にスキルアップに励み、仕事につながる人脈を築いておく必要があるでしょう。

関連記事:インフラエンジニアが独立する5ステップ。案件獲得に必要なスキルは?具体的に解説

インフラエンジニアからキャリアアップする

インフラエンジニアとしてある程度経験を積んだ人は、上位職種へとキャリアアップすることも可能です。インフラエンジニアからキャリアアップを目指せる仕事としては、以下のような職種が挙げられます。

  • プロジェクトマネージャー
  • ITスペシャリスト
  • ITアーキテクト
  • ITコンサルタント

「プロジェクトマネージャー」は、現場で開発業務を担当するというよりは、プロジェクト全体を管理する役職です。「ITスペシャリスト」は、ネットワーク、セキュリティ、データベースなどの各分野の専門的な技術を持つエンジニアです。「ITアーキテクト」と「ITコンサルタント」は、その会社全体のシステムを見直すような、大きな規模の開発に携わります。

プロジェクトマネージャー

「プロジェクトマネージャー」は、システム開発に関わる予算、スケジュール、開発要員などを決定し、マネジメントスキルを活かしてプロジェクトを管理・遂行していく役割を担います。

プロジェクトマネージャーは、アプリケーション開発経験が必要なイメージがあるかもしれません。しかし、インフラ主体のプロジェクトや大規模開発では、アプリケーション開発とインフラ開発とでプロジェクトマネージャーを分け、複数立てるという場合もあります。そのため、アプリケーション開発経験が少ないインフラエンジニアでも、プロジェクトマネージャーにキャリアアップできる余地はあります。ただし、マネジメントスキルやリーダーシップが必要であるため、インフラエンジニアとしてのチームリーダーやマネジメントの経験が必要になるでしょう。

関連記事:プロジェクトマネージャー(PM)とは|役割や仕事内容、年収は?

ITスペシャリスト

「ITスペシャリスト」とは、プラットフォーム、ネットワーク、システム管理などの専門分野で高い専門性を発揮し、プロジェクトで要件定義や設計といった上流工程はもちろん、エンジニアへの技術指導なども担当する場合があるエンジニアです。既存のネットワーク基盤の見直し、システムのアーキテクチャ設計など、比較的大きな案件に携わる機会が得られるでしょう。

ITスペシャリストの分野では、ネットワーク、データベース、セキュリティなどで、インフラエンジニアとしての知識やスキルを活かすことができるため、インフラエンジニアからのキャリアアップが望める職種といえます。ただし、それぞれの専門分野において高い専門性を求められるため、技術のトレンドに対して高くアンテナを張り、常に情報収集や学習を継続する意欲が必要です。

ITアーキテクト

「ITアーキテクト」とは、企業のビジネスにおける戦略や課題に応じた最適なシステムを企画・立案する役割を担う職種です。一般的なインフラエンジニアやITスペシャリストと異なるのは、技術、ユーザー、ステークホルダーなど、さまざまな要素を踏まえたうえで、開発から運用の工程において、効率的かつ最適化された構成と設計を追求するという点です。インフラエンジニアとして、要件定義や設計などの上流工程を経験していれば、ITアーキテクトへのキャリアパスも見えてくるでしょう。

最適なアーキテクチャ設計を行うためには、要件を決めるためのモデリング技法などのスキルを習得する必要があります。また、ITアーキテクトは、顧客、プロジェクトメンバー、関連部署、外部組織などとやりとりする必要もあるため、さまざまな人とスムーズにコミュニケーションが取れるスキルが必要です。ITアーキテクトへのキャリアアップのためには、インフラチームリーダーの経験や、顧客とのコミュニケーション経験を積むことが望ましいでしょう。

関連記事:ITアーキテクトとは|仕事内容・年収・必要なスキルや資格を解説

ITコンサルタント

「ITコンサルタント」とは、企業の経営やビジネスにおける課題を解決するために、最善のIT活用手段を提案する役割があります。企業のビジネス戦略に沿ったIT戦略を策定し、各部門における業務内容やシステムの役割を調査し、必要となるシステム開発、最適化の提案、企画を行います。また、企画や構成にもとづいて、要件定義などの上流工程を担当し、プロジェクト完了までのマネジメントも担当することがあります。

上流工程を担うインフラエンジニアが経験する要求分析、提案、要件定義といったフェーズの業務は、ITコンサルタントの仕事と重なる部分もあるため、インフラエンジニアでこれらの経験を積んでいれば、ITコンサルタント業務に活かせるでしょう。また、インフラエンジニアとして仮想化、クラウド、セキュリティなどの最新技術の知識を身につけていれば、ITコンサルタントの仕事にも役立ちます。

関連記事:ITコンサルタントとは|仕事内容、年収、転職に役立つスキルや資格など

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未経験からインフラエンジニアになるキャリアパス

インフラエンジニアは高い専門性を求められるため、未経験者にはハードルが高いイメージがあるかもしれませんが、下記のようなキャリアパスを踏むことで、未経験からインフラエンジニアになることは可能です。

  • インフラ運用監視
  • インフラ運用保守
  • インフラ構築
  • インフラ設計

未経験者はスキルが不足しているため、いきなり設計や構築を担当するインフラエンジニアとして採用されるのは難しいでしょう。そのため、開発業務がほとんどない運用監視から始めるケースが一般的といえます。

インフラ運用監視

インフラ運用監視とは、サーバーやネットワーク、アプリケーションなどの状態をチェックし、システムが正常に動作しているかどうかを監視します。監視用ソフトウェアを通じて、ネットワーク機器の稼働状況、CPU・メモリなどのリソース状況をチェックし、問題がないかどうかを判断する必要があります。エラーが発生したら、運用保守を担当するエンジニアへ速やかに連絡し、場合によっては外部対応なども行います。

LinuxやWindowsコマンドの基本的な知識が必要ですが、一般的には高いスキルは求められないため、未経験者がインフラエンジニアを目指す足掛かりとなり得るでしょう。

インフラ運用保守

インフラ運用保守とは、稼働中のシステムが長期間継続してサービスを提供できるように、インフラの運用保守作業を行う仕事のことです。主に、下記のような作業を行います。

サーバーやネットワーク機器のアップデートや障害対応
システムのアカウント管理
ログファイルや業務データの取得などの運用作業

インフラ運用保守では、「JP1」や「Zabbix」などの運用監視ツール、OSコマンドなど、基礎的なインフラの知識が必要ですが、業務経験を通じて知識を学びやすく、経験を積んでいけば将来的に構築や設計の仕事もできるようになるでしょう。

インフラ構築

インフラ構築とは、設計書に従ってインフラを構築する業務のことで、OS、ミドルウェア、ネットワーク機器の設定作業などを行います。LinuxやWindowsのコマンドの知識が必要であり、また、手順書通りに確実に作業を行う慎重さも必要です。

インフラ構築では、インフラ運用監視や運用保守で培った技術を活かせますが、将来的にインフラ設計を任せられるようになるためにはさらなる知識の研鑽も重要です。

インフラ設計

「インフラ設計」とは、状況やクライアントの要望に応じた適切なインフラを設計する業務のことです。要件定義を行い、システム構成に対する要求、アプリケーションの規模に合わせたサーバー、ネットワーク機器、ストレージ装置などのスペックと構成を決め、設計書を作成します。

インフラ設計は、インフラエンジニアとしての高い専門性を要求される業務であるため、十分に運用保守や構築の経験を積み、サーバー、ネットワーク、ストレージなど、それぞれのインフラの知識を習得している必要があります。

未経験からのキャリアパスや将来性について知りたいという方は、以下の記事も参考にしてみてください。
インフラエンジニアとは?仕事内容やスキル、年収、未経験からの勉強法などを徹底解説

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インフラエンジニアの仕事内容

インフラエンジニアの仕事内容
インフラエンジニアの仕事内容は、大まかに「設計」「構築」「運用」の3つに分けられます。

  • 設計
  • 構築
  • 運用

設計

設計は、サーバーやネットワークの利用者数、サーバーのリソースの使用量、ネットワークの通信量などを想定しながら、開発するインフラシステムの構成や設定値を定義します。また、稼働後の運用手順、障害発生時の復旧手順なども、この段階で設計します。そして、設計した内容は設計書としてドキュメントに保存します。

構築

構築は、設計書にもとづき、サーバーやネットワークを構築する作業です。この作業では、ハードウェアの組み立てや接続・設定、OSや管理用ソフトウェアのインストールと設定、ログ管理用データベースの作成などを行います。構築後には、想定通りに動作するか、負荷に耐えられるか、などの多数のテストを実施します。テストの結果、問題なければ運用開始です。

運用

運用では、動作状況の監視、定期的なバックアップやソフトウェア更新、障害発生時の復旧作業などを行います。サービスによっては24時間365日対応しなければならないため、夜勤も含め交代勤務などの運用体制を組んで対応します。

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女性インフラエンジニアのキャリア形成

厚生労働省の職業情報提供サイト(日本版O-NET)によると、インフラエンジニアの女性比率は「数パーセント程度」とされており、男性の割合が高い職種です。

参考:厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET)「システムエンジニア(基盤システム)」

しかし、女性活躍推進法の制定・改正、働き方改革の促進といった政府の施策の影響もあり、女性のキャリア形成の選択肢は広がりつつあります。

参考:厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)」
参考:厚生労働省「「働き方改革」の実現に向けて」

また、2019年には「育児・介護休業法」が改正され、2021年1月から育児休暇や介護休暇が時間単位で取れるようになりました。子育てに取り組んでいる女性も、インフラエンジニアとしてのキャリア形成がしやすくなることが考えられます。

参考:厚生労働省「育児・介護休業法について」

ただし、インフラエンジニアは、システムのメンテナンスや急なトラブル対応など、夜勤や突発的な勤務もある仕事なので、家事や育児の比重が大きいなど家庭の事情によっては、両立が難しくなる可能性もあります。このような場合は、時短勤務などを利用するか、夜勤がない職種へのキャリアチェンジを検討するのもひとつの方法です。

関連記事:「インフラエンジニアはきつい」と言われる理由|激務って本当?未経験でも大丈夫?

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インフラエンジニアのキャリアアップに役立つ資格

インフラエンジニアのキャリアアップのために、スキルの証明につながる資格を取得することは有効です。インフラエンジニアのキャリアアップにつながる可能性のある資格としては、下記のものが挙げられます。

  • Linux技術者認定試験LinuC
  • CCNA(シスコ技術者認定試験)
  • AWS認定試験

「LinuC」はサーバーOSに使われるLinuxに関する資格、「CCNA」はシスコ社のネットワーク製品も含めたネットワークの知識などを問われる資格、「AWS認定試験」は、Amazonのクラウドコンピューティングサービスに関する資格です。

Linux技術者認定試験LinuC

Linux技術者認定試験LinuC(Linux Professional Certification)は、かつて「LPIC」を取り扱っていた「NPO法人LPI-Japan」により主催されているLinux技術者向けの認定試験です。

LinuCは、日本向けにクラウドや仮想化の知識を問う問題も多く取り混ぜた試験となっています。レベルは1から3まであり、基本的な構築・運用から専門家レベルまで、Linux技術者の技術力を3つのレベルで証明することができます。

レベル1では、仮想環境も含めたLinuxサーバーの構築・運用、レベル2では、仮想マシン、コンテナの内容を含むLinuxシステム、ネットワークの設計・構築に関するスキルが問われます。レベル3は、3つの試験に分かれており、それぞれLinux、Windows、UNIXの混在環境でのシステム構築(Mixed Environment)、セキュリティを考慮したシステム構築(Security)、Linux/OSSを使った仮想化システムの構築・運用(Virtualization & High Availability)などについてのスキルを証明できます。

LinuCは、クラウド時代の仮想化技術やLinuxOSの設計・構築・運用業務に役立つ可能性の高い、インフラエンジニアのスキルアップ・キャリアアップに適した資格です。

CCNA(シスコ技術者認定試験)

「CCNA(Cisco Certified Network Associate)」は、世界最大手のネットワーク機器メーカーであるシスコシステムズ社が実施する、ネットワークやソフトウェア開発の技能を認定する試験です。CCNAの試験では、ネットワークやIPアドレス、セキュリティなどの基礎的な知識を問われます。

なお、CCNAは、シスコ技術者認定の中では入門的な資格という位置づけであり、上級試験として「CCNP」「CCIE」の資格が用意されています。

シスコ社のネットワーク機器はデファクト・スタンダードともいえる存在であり、CCNAで問われるネットワークの基礎知識は、インフラエンジニアにとって汎用性が高いスキルといえるでしょう。インフラエンジニアは、ぜひ取得しておきたい資格です。

AWS認定試験

「AWS認定試験」は、代表的なクラウドコンピューティングサービスであるAWSの公式認定資格で、AWSの専門知識を体系的に身につけていることを認定するものです。

レベルは「基礎」「アソシエイト」「プロフェッショナル」に「専門知識」を加えた4種類があり、アソシエイトとプロフェッショナルは「アーキテクト(設計者)」「運用」「デベロッパー(開発者)」の役割別に資格が用意されています。
Solutions Architect Associate:設計者向け
Solutions Architect Professional:設計者向け(上級)
SysOps Administrator Associate:運用者向け
Developer Associate:開発者向け
DevOps Engineer Professional:運用者・開発者向け(上級)


これらの資格を取得することで、AWSを使用したソリューション設計や構築といった業務に役立つでしょう。

関連記事:インフラエンジニアの資格|クラウド系などおすすめの資格一覧と難易度を紹介

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インフラエンジニアに必要なスキル

インフラエンジニアに必要なスキルは、サーバーやネットワークに関するスキルだけではありません。インフラエンジニアに必要なスキルには、以下のスキルが挙げられます。

  • サーバーに関する知識
  • ネットワークに関する知識
  • クラウドに関する知識
  • 情報セキュリティに関する知識
  • SREに関する知識
  • インフラの設計・構築スキル
  • プログラミングスキル
  • ヒアリング・言語化スキル
  • マネジメントスキル
  • コミュニケーション能力

先にも述べたように、インフラエンジニアの仕事は、設計・構築・運用が主な内容です。それぞれのフェーズにおいて、インフラに関する知識だけでなく、マネジメントやコミュニケーションなど幅広い能力が求められます。

サーバーに関する知識

インフラエンジニアの仕事内容は、主に2つあります。そのうちの1つが「サーバーの構築」です。サーバーを構築するためには、CPUやディスクなどのハードウェアの知識、WindowsやLinuxなどのOSの知識、データベースや仮想化ソフトなどのミドルウェアの知識が必要です。そして、これらの知識を活用しながら、サーバーの設計、構築、運用を行っていきます。

また、運用後の対応も含めて構築しなくてはなりません。障害が発生したときには、原因追究のためにログを確認する必要があり、どのようなタイミングでログを取得するのか、そして、どのようなメッセージを検知したときに障害発生と判断するのかなど、監視で行う対応も含めて設計します。そのため、ログ分析作業や監視ツールなどに関する知識が必要です。

ネットワークに関する知識

インフラエンジニアのもうひとつの主な仕事が「ネットワークの構築」です。ネットワークの構築にはTCP/IPやDNSなどのインターネット通信の知識、ルーターやモデムなどのネットワーク機器の知識、IPSなどのセキュリティ機器の知識などが必要です。そして、これらの知識を活用しながら、ネットワークの設計、構築、運用を行っていきます。

ネットワークの構築にあたっては、ユーザーの利用者数、通信速度、セキュリティなどを考慮しながら設計・構築を進める必要があります。また、障害が発生したときには業務に影響しないように多重化するなど、耐障害性の考慮も必要です。

クラウドに関する知識

近年は、AWS(Amazon Web Service)、GCP(Google Cloud Platform)などのクラウドサービスを利用したシステム構築が増えています。このため、インフラエンジニアはクラウドサービスでのサーバー構築やネットワーク構築を行うにあたり、インフラ全般、クラウドサービスの知識が必要です。

たとえば、AWSの場合、仮想コンピューティングサービスであるAmazon EC2を用いて仮想サーバーを構築します。構築ではCPU、メモリ、ストレージ、ネットワークなどの構成に加えて、インスタンスの作成やリモートデスクトップの設定が必要です。そのため、基本的なクラウドの知識とAWSの知識の両方が求められるでしょう。

情報セキュリティに関する知識

インターネットへの接続が当たり前となっている中、サイバー攻撃をはじめとしたマルウェア対策が必要です。そして、マルウェア対策を行うのはインフラエンジニアの役目です。しかしマルウェアは新種の開発や手口の巧妙化が見られます。マルウェアの脅威からコンピューターを守るためにも、セキュリティ対策やセキュリティ機器の構成をはじめとした情報セキュリティの知識が必要です。

また、現在、多くの企業がISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)やプライバシーマークなど、セキュリティ管理に関する規格に沿ったセキュリティ対策を行っています。このため、このようなセキュリティ規格に関する知識も必要です。

SREに関する知識

SRE(Site Reliability Engineering)は、Googleが提唱するシステム運用管理の方法論や、エンジニアの役割を指す言葉です。これは、システム運用での手作業を自動化することで信頼性向上を図るという考え方です。

インフラエンジニアはインフラ設計を行うにあたり、運用や監視方法についても考慮します。SREにもとづいて高い信頼性で運用を行うためには、なるべく手作業を排除し、ツールによる自動化を取り入れる必要があるのです。

SREはインフラ運用管理を行ううえで注目されている考え方であり、SREエンジニアという専門職種も見られるようです。このSREに関する知識を身につけておくことで、インフラエンジニアとしての市場価値も高まるでしょう。

インフラの設計・構築スキル

インフラエンジニアは、「インフラ設計・構築スキル」が必要です。上述したとおり、インフラの設計・構築で行う作業は、サーバーとネットワークで異なります。ほかにも、セキュリティやデータベース、運用後の監視などを含めるとさまざまな構築・設計作業を行うことになるでしょう。

しかし、上記のような個々の構築・設計を行う前に、インフラシステム全体を包括的に考える必要があります。インフラの設計では、まずはどのようなインフラが必要なのかをまとめて要件定義を行います。このとき、現状のインフラ状況、インフラ導入の目的、条件や要望、予算などを聞き出します。そこから、最善のインフラ設計を行うにはどうしたらよいかを考える必要があるため、インフラ全体を設計・構築するスキルが求められるのです。

プログラミングスキル

インフラの設計・構築にあたり、一見プログラミングスキルが必要ないようにも思われますが、インフラエンジニアにもプログラミングスキルが必要となる場面はあります。インフラの構築作業の中でプログラミングスキルが求められるのは、以下のような処理を作成するときです。

JOB自動実行プログラム(ファイルインポートやエクスポート、一括処理など)
運用・監視処理の自動実行プログラム(ノード監視、ログ収集など)
これらの自動処理は、Bash(シェルスクリプト)、TTL(Tera Term用マクロ言語)、BAT(バッチファイル用言語)などを用いて作成します。また、クラウドを用いたインフラ構築において、管理ツールを実装する際に、PythonやRubyなどのプログラム言語が使用されます。このことからも、今後のインフラエンジニアには、プログラミングスキルが求められるでしょう。

ヒアリング・言語化スキル

ヒアリング・言語化スキルはインフラエンジニアに限らず、上流工程を担うエンジニア全般に求められるスキルです。先述したとおり、設計においてはクライアントに要件をヒアリングし、それをもとに要件定義書や設計書などのドキュメント作成を行うからです。

要件定義では、クライアントの要望をどのように実現するかを検討するため、インフラエンジニアはクライアントにサーバーやネットワークの利用目的や必要な性能など、どのような要望を持っているかをヒアリングします。このときに、ヒアリングスキルが必要となります。単に話を聞くだけではなく、納期や仕様についての提案や交渉なども必要となるでしょう。

また、ヒアリング結果や設計の結果は、ドキュメントとしてまとめておきます。これらのドキュメントは、構築フェーズや保守フェーズでも使われます。ドキュメントにまとめるということは、誰が見ても分かりやすい文章を書く必要があります。このことから、インフラエンジニアには言語化スキルが求められるでしょう。

マネジメントスキル

インフラエンジニアには、ほかにもマネジメントスキルが求められます。インフラの設計・構築段階では、プロジェクトとして作業を行うのが一般的です。プロジェクトは、期日までに目的を達成するための活動です。

また、期日内に目的を達成するためには、目的を達成するまでに発生する作業をタスクに分け、これらのタスクが予定通りに終えられているかを管理する必要があります。この管理に必要なスキルがマネジメントスキルです。なお、主に現場の進捗を管理するのがプロジェクトリーダー、プロジェクト全体を管理するのがプロジェクトマネージャーです。

マネジメントが行われていなければ、進捗が予定通りなのか遅れているのかが分からなくなります。もし納期に遅れたとなると、クライアントや関係者からの信頼を失いかねません。このため、作業状況を把握し、予定通りに進めることができるよう、インフラエンジニアにはマネジメントスキルが求められるのです。

コミュニケーション能力

マネジメントスキルの項目でも触れましたが、設計・構築フェーズではプロジェクトとして作業を行うことが一般的です。そして、チームで作業を進めるため、クライアントとのコミュニケーションはもちろん、プロジェクト内でもコミュニケーションが必要な場面が多く発生します。このため、インフラエンジニアにはコミュニケーション能力が必要です。

クライアントとのコミュニケーションが発生する場面は、要件定義時のヒアリングのほか、疑問点や検討事項に関する質疑応答などです。また、プロジェクト内部では、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーへの進捗報告、課題解決のため検討などがあります。インフラエンジニアがスムーズに仕事を進めるためには、コミュニケーション能力は不可欠といえるでしょう。

関連記事:インフラエンジニアに必要なAWSのスキルとは?求人案件や勉強方法を紹介

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インフラエンジニアの将来性

インフラエンジニアは、クラウド需要の高まりもあり、今後も需要が見込まれる「将来性のある職種」といえます。総務省の「令和2年版情報通信白書」によると、2015年から2019年の間に、クラウドサービスを導入する企業は20%以上も増加しているため、新規構築案件だけではなく、リプレイス案件や運用監視案件なども増えると予想できるでしょう。

インフラエンジニアの5年後はどう変わる?

近年のITインフラの変化をもとに、5年後のインフラエンジニアの将来性を想定してみましょう。

総務省の「令和2年版情報通信白書」によると、何らかのクラウドサービスを利用している企業は、2015年の44.6%から、2019年は64.7%と20%以上も増えており、今後も増え続けると予測されます。

参考:総務省「令和2年版 情報通信白書|企業におけるクラウドサービスの利用動向」

また、厚生労働省の職業情報提供サイト(日本版O-NET)では、インフラエンジニアの仕事について「顧客の施設に物理的にサーバーを設置する仕事は減少しているが、クラウドを利用したIoT、フィンテック(金融とITを結びつけた新しいサービス)等、新しい分野でITインフラが求められるようになっている」とも書かれています。

近年のインフラエンジニアの仕事は、従来の物理的なサーバーを利用したオンプレミスのインフラから、クラウドサービスを利用したインフラへと変化していることが分かります。このことから、インフラエンジニアとして5年後も活躍するためには、クラウドのスキルを持ち合わせていることが重要になってくるでしょう。

インフラエンジニアの今後の需要

企業のクラウドサービスの利用は、今後も増えると考えられます。従来のオンプレミスからクラウドへシステムを移行させるために、インフラエンジニアの需要がさらに増加していく可能性があるでしょう。

しかし、システムをクラウドへ移行するには、クラウドのスキルだけではなく、従来のサーバー、ネットワークといったオンプレミスのスキルも必要です。スムーズにシステムを移行するためにも、オンプレミスとクラウドの知識を合わせ持ったインフラエンジニアの需要は、特に高まっていくことが考えられます。

関連記事:インフラエンジニアの将来性|クラウド化で今後の需要や転職に必要なスキルは変わる?

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将来のビジョンを持ってキャリアプランを考えよう

インフラエンジニアは、ITの根幹を担う重要な役割であり、将来性の高い職種であるといえます。しかし、時代の変化と技術の進歩に合わせて、必要とされるスキルやキャリアパスが変化しやすい職種でもあります。市場価値の高いインフラエンジニアとして成長し続けるためには、将来のビジョンを持ってキャリアプランを考えていくことが重要です。

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インフラエンジニアのキャリアパスに関するよくある質問

ここでは、インフラエンジニアのキャリアパスに関するよくある質問に答えていきます。

Q.  インフラエンジニアにはどのようなキャリアパスがありますか?

インフラエンジニアにはスペシャリスト、クラウドエンジニア、セキュリティエンジニア、フルスタックエンジニア等のキャリアパスがあります。

Q. インフラエンジニアからプロジェクトマネージャーになるために必要なマネジメントスキルは、具体的にどのようなものですか?

マネジメントスキルとはプロジェクトマネージャーがプロジェクトを円滑に進めるために必要なスキルです。具体的には自分の仕事の管理に加え、社内外の関係者やチームなどの進捗の管理、適宜指示や調整を行います。

Q. インフラエンジニアがロジカルコミュニケーションを習得することで、どのようなメリットがありますか?

ロジカルコミュニケーションを習得することで、必要な事柄を端的に伝えられる、スムーズかつ正確な意思疎通が可能になる、プレゼンや交渉に強くなれる等のメリットがあります。

Q. インフラエンジニアにはどのような技術的なスキルが必要ですか?

インフラエンジニアには、サーバー管理、仮想化、ネットワーク設計、ストレージ管理、セキュリティ管理等の技術的なスキルが必要です。

Q. インフラエンジニアのキャリアアップに役立つ資格はありますか?

LPIC、CCIE、ORACLE MASTER、ITパスポート等の資格を取得するとキャリアアップに役立ちます。

※本記事は2022年1月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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