ブリッジSE(ブリッジエンジニア)とは?オフショア開発との関係も紹介

ブリッジSEは、日本と海外の会社をつなぐエンジニアです。システム開発の現場で、日本企業と海外企業のスタッフのやり取りをサポートし、プロジェクトをスムーズに進める役割を担います。具体的な業務には、外国人エンジニアへの説明や情報共有、進捗確認などがあります。

本記事では、ブリッジSEの仕事内容や将来性、目指す方法などについて詳しく解説します。

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目次

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ブリッジSE(ブリッジエンジニア)とは?

パソコンを持ち寄り会議をするIT企業のデスクの俯瞰写真

ブリッジSEとは、日本企業と海外人材の間のコミュニケーションをサポートするシステムエンジニアのことです。ブリッジエンジニアと呼ぶこともあります

ここから、ブリッジSEと通常のSEの違いや、ブリッジSEの平均年収を紹介します。

ブリッジSEとSE(システムエンジニア)の違い

ブリッジSEもSEも、クライアントの要望に従ったシステムを開発する「システムエンジニア」である点は共通しています。ただし、ブリッジSEはSE以上に海外と頻繁にコミュニケーションをとる機会がある点が大きな違いです

SE(システムエンジニア)の仕事内容について、より詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
システムエンジニア(SE)になるには?仕事内容・年収・求められるスキルを解説

ブリッジSEの平均年収

ブリッジSEの平均年収は、働く会社の規模や案件の質によって異なります。一般的には、SE全般の平均年収よりも高めです。

経済産業省が2017年に実施した調査によると、SE・プログラマの平均年収は「ソフトウェア製品の開発・実装」が568.5万円、「顧客向けシステムの開発・実装」が593.7万円、「組み込みソフトウェアの開発・実装」が603.9万円でした。そのため、ブリッジSEの平均年収は、550〜600万円よりも高いことが推測されます

参考:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」

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オフショア開発とブリッジSE(ブリッジエンジニア)の関係

ノートパソコンが置かれたSEの作業机

ブリッジSEは、オフショア開発が普及したことをきっかけに、さらに注目を集めるようになりました。ここから、オフショア開発の概要や、オフショア開発においてブリッジSEの果たす具体的な役割について解説します。

オフショア開発とは

オフショア開発(Offshore Development)とは、日本よりもコストが低い海外の企業や現地法人に、ソフトウェアの設計・開発・インフラ構築などを委託する手法のことです。オフショア開発の主な目的として、開発コストの削減や海外の優秀な人材との関係を構築することなどが挙げられます。

オフショア開発の委託先は、主にアジアの国々が中心です。具体例として、ベトナム・フィリピン・インド・バングラデシュ・中国などが挙げられます。

オフショア開発によりさまざまなメリットを期待できる一方で、進捗や納期管理には注意しなければなりません。なぜなら、国によって日本の慣習と異なることがあるためです。

オフショア開発については以下でまとめているので、ぜひご覧ください。
オフショア開発とは?|メリット・デメリットについても詳しく解説します

オフショア開発においてブリッジSEが果たす役割

日本企業と海外の委託先企業の間を調整することが、オフショア開発におけるブリッジSEの主な役割となります。日本企業と海外の委託先企業との間には、言語・文化・仕事に対する考え方の違いがあるため、オフショア開発の成功にはブリッジSEの存在が欠かせません。

ブリッジSEがオフショア開発で担う仕事の流れは、主に以下のとおりです。

  • 日本企業からの指示(依頼)に基づき、ブリッジSEがオフショア先に開発内容を説明する
  • ブリッジSEがオフショア開発の進捗状況を随時確認し、日本企業に報告する
  • オフショア先が開発した成果物をブリッジSEがチェックし、品質を日本企業に報告する

なお、開発側(オフショア先)の人材が現地・もしくは日本でブリッジSEとして稼働するケースと、発注側(日本企業側)の人材が日本でブリッジSEとして稼働するケースがあります。

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ブリッジSEの仕事内容・役割

ホワイトボードと付箋でブレインストーミングをする風景

ブリッジSEの主な仕事内容や役割は、以下のとおりです。

  • 外国人エンジニアへの説明・情報共有
  • 進捗確認・タスク管理
  • 納品物の受け入れ・品質確認

それぞれ解説します。

外国人エンジニアへの説明・情報共有

外国人エンジニアへの説明をすることが、ブリッジSEの仕事です。オフショア先の企業のスタッフに対して、プロジェクトの内容を説明したり、設計書の翻訳をしたりします。

説明する際、ブリッジSEは日本側と海外側のメンバーの認識にズレが生じないように、文化の違いを考慮しつつ、必要に応じて補足しなければなりません。さらに、開発中に日本企業から要望があれば、都度オフショア先に情報を共有することも大切な仕事です。

進捗確認・タスク管理

現地エンジニアに依頼した作業が滞りなく進んでいるか、進捗を管理することもブリッジSEの役割です。万が一期日に遅れそうな場合は、委託元(日本企業側)に報告して対策を話し合います。

また、予定通りに作業を進めるため、タスク管理を徹底することもブリッジSEの仕事のひとつです。どの業務を誰が担うか振り分けて、タスクが完了するたびに委託元に報告します。

各担当者が進捗をひと目で把握できるように、共有資料の作成が必要な場面も出てくるでしょう。

納品物の受け入れ・品質確認

委託先から成果物が納品されたら、ブリッジSEが受け入れます。その際、納品物にバグがないか、必要な機能が正しく実装されているかなどの品質をチェックすることもブリッジSEの役割です。

チェック時に不具合が見つかった場合、現地エンジニアにフィードバックします。フィードバック時には、不備の原因や内容を正しく相手に伝えなければなりません。

なお、案件や会社によって、確認自体はSE(システムエンジニア)が実施するケースもあるでしょう。その場合、ブリッジSEはSEからヒアリングした内容をまとめて、現地エンジニアに修正の指示を出します。

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ブリッジSEになるために必要なスキル

ブリッジSEになるためには、以下のスキルが求められます。

  • 技術的スキル(知識・経験)
  • コミュニケーションスキル
  • マネジメントスキル
  • 英語などの語学力

各スキルの概要や、それらのスキルがなぜブリッジSEに必要なのかを解説します。

技術的スキル(知識・経験)

ブリッジSEには技術的スキルが求められます。なぜなら、エンジニアとしての技術・知識・経験がなければ、現地エンジニアに依頼内容をうまく伝えられないためです。

主に、以下に関する基本的な知識や経験が求められます。

  • ネットワーク
  • プログラミング
  • セキュリティ
  • データベース

ブリッジSEには、SEが有する一般的なスキルが欠かせないことを理解しておきましょう。

コミュニケーションスキル

ブリッジSEは日本と海外を橋渡しする役割があるため、コミュニケーションスキルも欠かせません。とくに、現地スタッフとコミュニケーションをとる際に相手の文化を理解し、尊重する姿勢が大切です。

また、現地スタッフと短期間で信頼関係を築き上げられる能力も重要です。現地スタッフとの信頼関係の有無が、プロジェクトのスムーズな進捗や、納品物の質にも大きな影響を与えます。

マネジメントスキル

発注元が指定した納期に遅れないようにするため、プロジェクトマネジメントのスキルも求められます。マネジメントの際には、現地エンジニアの進捗を管理するだけでなく、日本の発注側の意向を十分に理解してまとめることも大切です。

マネジメントにあたって、現地スタッフの働き方・考え方が日本とは異なることも理解しておかなければなりません。日本と同じようにマネジメントを試みると、信頼関係が損なわれたり、スムーズに作業が進まなかったりする可能性があります。

英語などの語学力

ブリッジSEには、語学力も欠かせません。日本語を話さない現地スタッフとやり取りする機会が頻繁にあるためです。

委託する国によっても異なりますが、一般的に必要な言語は英語です。ただし、英語でコミュニケーションをとるだけでなく、要件・定義を説明する能力や、システム開発用語の言い回しを説明できる能力まで必要になる点に注意しましょう。

なお、現地エンジニアが英語を話せる場合でも、委託先の母国語をある程度話せるに越したことはありません。相手の母国語で日常会話を試みることで、信頼関係を築きやすくなる可能性があります。

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ブリッジSEに役立つ資格

パソコンと積まれた本のある勉強机

ブリッジSEは英語で現地エンジニアとコミュニケーションをとる場面が頻繁に訪れるため、英語力を証明するTOEIC(TOEIC Listening & Reading Test)が役に立つでしょう。TOEICは990点満点の試験で、年に何回も受験機会があります。

また、ブリッジSEはプロジェクトマネジメントのスキルが求められるため、PMPの資格取得が役に立つこともあります。PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)とは、PMI本部が認定するプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。PMPは万が一不合格になっても1年間に合計3回まで受験できます。ただし、PMPを受験するには実務経験や研修受講など所定の要件を満たさなければなりません。

参考:
一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会「テスト申込」
PMP日本支部「PMP®資格について」

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ブリッジSEを目指すメリット・強み

離陸する航空旅客機と空

ブリッジSEを目指すメリットや、ブリッジSEの強みは主に以下のとおりです。

  • 労働市場においてニーズがある
  • 海外で働くチャンスがある
  • プロジェクトマネジャーとしての経験を積める

それぞれ解説します。

労働市場においてニーズがある

労働市場において一定のニーズがあることが、ブリッジSEを目指すメリットです。

近年、オフショア開発の普及とともに、ブリッジSEに対する需要も高まっています。オフショア開発を試みるも、言語や文化の違いにより現地エンジニアとうまくコミュニケーションを取れず、開発に失敗する事例がいくつもあることが、とくにブリッジSEの存在意義が高まっている理由でしょう。

なお、「ブリッジSE」としてではなく、海外エンジニアと日本企業の間に立つプロジェクトマネジャーとして、人材を募集していることもあります。

海外で働くチャンスがある

海外で働くチャンスがある点も、ブリッジSEを目指すメリットです。プロジェクトを進めるにあたって、現地企業に出向いてコミュニケーションをとる場面があるため、海外出張を経験できます。

また、案件によっては海外の企業に常駐する場合もあります。そのため、英語が得意な方や語学に関心のある方、また海外勤務経験を積みたい方は、ブリッジSEに向いているといえるでしょう。

プロジェクトマネジャーとしての経験を積める

プロジェクトマネジャーとしての経験を積めることは、ブリッジSEの強みです。ブリッジSEには、エンジニアとしての役割以外に、進捗状況の把握やタスク管理といった通常プロジェクトマネジャーが果たすべき業務を担う機会があります。

なお、プロジェクトマネジャーはブリッジSEと同様に、マネジメントスキル・コミュニケーションスキルなどが求められる職種です。

プロジェクトマネジャーの年収などについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
プロジェクトマネージャーの年収|向いている人やなるには何をすべきか解説

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ブリッジSEの年収・将来性

海外のおしゃれなカフェでノートパソコンを開く女性の俯瞰写真

海外拠点を設ける日本企業が増えている点、海外スタッフを日本で雇う企業が増えている点から、ブリッジSEの将来性は比較的明るいといえます。今後もコスト削減などを目的にオフショア開発を進める日本企業は増えていくでしょう。

また、日本国内でも優秀な海外人材を採用するケースがあります。その場合も、エンジニアとしてのスキルを持ちながら外国人エンジニアと円滑なコミュニケーションを取れるブリッジSEは重宝されるでしょう。

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未経験からブリッジSEになるには?

プログラムのソースコードが写ったノートPC

一般的に未経験からいきなりブリッジSEになることは難しいでしょう。なぜなら、いくら語学が堪能だったとしても、ネットワークやプログラミング、データベースなどエンジニアとしての基本的な知識がないと現地エンジニアにうまく説明できないためです。

ブリッジSEを目指す方は、まずシステムエンジニアとしての経験を積みましょう。未経験からブリッジSEになるまでの一般的な流れは以下のとおりです。

  • 書籍で独学、もしくはスクールでプログラミングの知識を身につける
  • 日本でエンジニアとして就職する
  • エンジニアとして数年間勤務後、勤務先でブリッジSEを希望する
  • 勤務先でブリッジSEを募集していない場合は、オフショア開発に積極的な企業に申し込む

なお、未経験からシステムエンジニアになる方法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
システムエンジニアを未経験から目指す方法|求人状況や転職後の年収、おすすめ資格も紹介

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フリーランスのブリッジSEになるには?

膝の上でノートパソコンを操作する男性の手元

自社の従業員ではなく、フリーランスにブリッジSEとしての業務を依頼する企業もあります。ただし、フリーランスとしてブリッジSEの案件を獲得するためには、一定のスキルや経験が必要です。

フリーランスとして独立する前に、主に以下のスキルや経験を得ることを心がけましょう。

  • 高度なシステム開発や上流工程のスキル
  • プロジェクトリーダーやプロジェクトマネジャーとしての勤務経験
  • オフショア開発への参画
  • オフショア開発における上流工程の経験

上流工程とは、設計や要件定義など、主に開発初期における業務のことです。

上記のプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーについて、以下の記事にまとめているので、ぜひご覧ください。
プロジェクトリーダー(PL)とは?役割や仕事内容、スキル、年収などを解説
プロジェクトマネージャー(PM)の役割とは|仕事内容、年収、資格について

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ブリッジSEに関するよくある質問

ここでは、ブリッジSEに関するよくある質問に答えていきます。

Q. ブリッジSEとして活動するためにはどのようなスキルが必要ですか?

ブリッジSEとして活動するためには、語学力、技術知識・開発スキル、マネジメント力、コミュニケーション力、両国の商習慣や文化に対する理解等のスキルが必要です。

Q. ブリッジSEとしての仕事を受注する際、どのような資格があると有利ですか?

ブリッジSEとしての仕事を受注する際にPMP、プロジェクトマネージャ試験、応用情報技術者試験、TOEIC等の資格があると有利です。

Q. ブリッジSEとして働くためには、どの程度の英語スキルが必要ですか?

ブリッジSEには最低限TOEICスコアで500~600点程度の日常会話に困らないレベルの英語スキルがあるとよいでしょう。

Q. ブリッジSEの平均年収はどの程度ですか?

ブリッジSEの平均年収は450万~850万円程度です。

Q. ブリッジSEとSEではどんな違いがありますか?

ブリッジSEはプロジェクトマネジメントとエンジニアリングの両方の知識が必要で、双方の間にある壁を取り払うことができる役割を担います。SEは主にエンジニアリングに焦点を当てた技術的な役割を担います。

※本記事は2024年1月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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