フリーランスエンジニアの確定申告ガイド!初心者の不安を解消する基本知識 | レバテックフリーランス
フリーランスエンジニアの確定申告ガイド!初心者の不安を解消する基本知識
フリーランスエンジニアの確定申告は、年間所得が基礎控除額を超えると原則として義務が発生します。青色申告を選べば最大65万円の特別控除といった複数の税制優遇を受けられ、正しく経費を計上することで税負担を抑えることも可能です。
この記事では、確定申告が必要な基準を解説します。さらに、青色申告と白色申告の違いや、エンジニアが経費にできるものの種類、申告の流れをまとめました。税務調査の実態も解説するので、初めての確定申告で不安な方はぜひご覧ください。

記事の監修者
新井 智美
トータルマネーコンサルタント ファイナンシャルプランナー
マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。
現在年間200本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績は3,500本を超える。
フリーランスエンジニアの確定申告が必要になる基準
フリーランスエンジニアに確定申告の義務が発生するのは、年間所得(売上から経費を差し引いた額)が基礎控除額を超えた場合です。
なお、基礎控除額はその人の所得金額によって異なります。現在の基礎控除額は令和7年の税制改正により変更されており、以下が年間所得別・年度別の基礎控除額です。
| 年間所得 | 2025年・2026年分 (令和7・8年分) の基礎控除額 |
2027年分 (令和9年分) 以降の基礎控除額 |
|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 95万円 |
| 132万円超 336万円以下 | 88万円 | 58万円 |
| 336万円超 489万円以下 | 68万円 | 58万円 |
| 489万円超 655万円以下 | 63万円 | 58万円 |
| 655万円超 2350万円以下 | 58万円 | 58万円 |
2025年・2026年分(令和7・8年分)においては、年間所得が95万円を超えると原則として確定申告が必要です。2027年分(令和9年分)以降は、基礎控除額が一律58万円となるため、年間所得が58万円を超えた場合に確定申告の義務が生じることになります。
確定申告には「青色申告」「白色申告」の2種類がある
確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選ぶかによって、手続きの手間や税制上のメリットが変わるので、以下の表でそれぞれの特徴を確認しましょう。
| 青色申告 | 白色申告 | |
|---|---|---|
| 節税効果 | 最大65万円の特別控除、 赤字の3年繰越など |
なし |
| 事前手続き | 「青色申告承認申請書」を 提出する |
なし |
| 記帳方法 | 複式帳簿 | 簡易帳簿 |
青色申告は事前の届出と一定水準の帳簿付けが必要になりますが、税制上のメリットが多いのが特徴です。白色申告は手続きが簡単な一方で、青色申告のような特典は受けられません。
フリーランスエンジニアが青色申告を選ぶメリット
フリーランスエンジニアにとって、確定申告は単なる義務ではありません。案件の報酬からあらかじめ引かれている源泉徴収税を取り戻したり、仕事で使った費用を経費として計上して税金を抑えたりできるからです。
さらに、青色申告を選ぶと以下のような税制上のメリットを享受できます。

それぞれの詳しい内容を確認していきましょう。
最大65万円・55万円の青色申告特別控除を受けられる
青色申告を選ぶ大きなメリットは、青色申告特別控除を受けられる点です。所得税率は課税の対象となる所得金額によって決まるため、控除によって課税所得を減らすことで、税負担を抑えられます。
控除額は「10万円」「55万円」「65万円」の3段階があり、それぞれ満たすべき要件が異なります。控除額ごとの要件は以下をご覧ください。
| 複式帳簿での記帳 | 貸借対照表・ 損益計算書の添付 |
申告の期限 | e-Taxで電子申告 または電子帳簿保存 |
|
|---|---|---|---|---|
| 10万円 | 簡易な記帳で良い | 損益計算書のみ | ー | ー |
| 55万円 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 65万円 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
会計ソフトを使って日々の記帳(複式簿記)を行い、e-Taxで必要書類を提出すれば、65万円控除を受けられます。なお、令和9年(2027年)分確定申告からは、最大控除額が65万円から75万円に引き上げられます。詳しい変更点については以下の資料をご覧ください。
参考:優良な電⼦帳簿の保存⼜はデジタルシームレス保存により75万円の⻘⾊申告特別控除を適⽤しましょう︕|国税庁
40万円未満の資産を一括で経費にできる
青色申告を行うと、40万円未満の資産を一括で経費計上できます。通常、10万円以上の資産は数年に分けて減価償却する必要がありますが、このルールにより手続きを簡単にできます。
この特例は「少額減価償却資産の特例」と呼ばれ、年間合計300万円までが上限です。エンジニアの仕事では、パソコンやモニター、ソフトウェアなど高額な機材を購入する機会も多いため、活用すると便利な制度です。
青色事業専従者給与を必要経費にできる
青色申告を選ぶと、家族に支払う給与を必要経費にできます。たとえば、配偶者に事務作業やコーディングの一部を手伝ってもらい、給与を支払う場合、その金額を経費として計上できます。家族を事業に関わらせているフリーランスエンジニアにとっては、税負担を抑える有効な手段になるでしょう。
白色申告の場合、家族への給与支払い自体は必要経費にできず、「事業専従者控除(配偶者は最高86万円、15歳以上のその他の親族は最高50万円)」を経費として差し引く仕組みになっています。そのため、実際に支払った給与額をそのまま経費にしたい場合は青色申告が有利です。
赤字の繰越しや繰戻しができる
青色申告には、赤字を翌年以降に繰り越せる制度があります。具体的には、赤字を最長3年間繰り越し、翌年以降の所得と相殺することが可能です。また、前年に青色申告している場合は、赤字を前年に繰り戻して税金の一部を還付してもらう「繰戻し」の制度も利用できます。
フリーランスエンジニアは、案件の受注状況によって収入が変動しやすい働き方です。赤字の年があっても、繰越しや繰戻しの制度を使えば翌年以降の税負担を軽くできる可能性があるでしょう。
青色申告を行うために事前に行う手続き
青色申告を行うには、事前に税務署への届出が必要です。手続きをしないと自動的に白色申告として扱われてしまうため注意しましょう。提出が必要な書類と期限は以下の通りです。
| 提出書類 | 提出期限 |
|---|---|
| (1)開業届 | 事業を開始した年の確定申告期限 (原則として翌年3月15日)まで |
| (2)青色申告承認申請書 | 青色申告で確定申告しようとする年の3月15日まで (1月16日以降に事業を開始した場合は事業開始から2ヶ月以内) |
※いずれも提出期限が土・日曜日・祝日などにあたる場合はその翌日
どちらの書類も、e-Taxでパソコン上での作成・提出を行えます。青色申告承認申請書の書き方は以下の記事を参考にしてください。
青色申告承認申請書の書き方は?全項目の解説と提出期限、注意すること
【節税対策】フリーランスエンジニア特有の経費の知識
フリーランスが手元に残るお金を増やすには、業務にかかった費用を経費として正しく計上し、課税対象となる所得を抑える節税対策が欠かせません。
ここでは、フリーランスエンジニアに向けて、経費にできる項目の具体例や知っておきたいルールを解説します。
フリーランスエンジニアが経費に計上できるものを把握する
経費計上にあたっては、まずフリーランスエンジニアが経費にできるものを把握しましょう。基本的に、フリーランスとして収入を得るために使った費用は経費として認められます。以下が具体例です。
- 通信費:仕事用の携帯電話やインターネットの料金
- 交通費:仕事のために利用した電車・バスなどの運賃、宿泊代
- 接待交際費:取引先との食事会や取引先に渡す手土産などの費用
- 消耗品費:仕事で使用する文房具やプリンターのコピー用紙などの費用
- 広告宣伝費:ネット広告やポスター、名刺、自身の公式サイトの制作費用
- 宅急便代:取引先への荷物の発送費用や発送時に使用したガムテープなどの費用
- 新聞図書費:新聞や書籍、参考書などの費用
これらは業務に直接関わる支出であれば経費として認められます。ただ、私的利用と業務利用が混在する費用は、按分して計上する必要があります。次の項目でやり方を確認しましょう。
在宅で働くエンジニアは家事按分を行う
業務用の支出とプライベートな費用が混ざっている場合は、「家事按分」を行って経費分を算出します。たとえば、自宅の一部を仕事用に使っている場合は、業務利用分だけを経費として計上することが可能です。作業スペースが部屋全体の3割を占めているなら、家賃の3割を経費として計上するといった考え方が一般的です。
なお、家事按分は自宅費用に限らず、仕事の移動に使う自家用車のガソリン代や、プライベートと併用するスマホ代にも適用できます。割合は使用面積・時間・距離などを基準に、合理的に説明できるよう決めておきましょう。
領収書や帳簿は一定期間保存する
領収書や帳簿はその種類や申告方法によって5~7年間の保存義務があります。確定申告で提出することはないものの、税務署から確認を求められた際に、経費の根拠を示せる状態にしておく必要があるためです。
なお、令和9年分(2027年分)から新設される最大75万円の青色申告特別控除を受けるには、帳簿をデータ形式で保存する「優良な電子帳簿保存」などが要件となります。節税効果を高めるためには、日頃からデジタルでの帳簿作成・データ保存を行うのがおすすめです。
参考:
電子帳簿等保存制度を活用して、デジタル化をさらに進めてみませんか?|国税庁
フリーランスエンジニアが確定申告を行う流れ
確定申告の流れは、青色申告と白色申告で細かい手順が異なります。事前に流れを把握し、確定申告の時期に慌てないように準備しましょう。
青色申告の場合
青色申告で最大65万円の控除を受けるための手順を説明します。
(1)日々の収支を複式簿記で記録する
(2)1年分の帳簿を集計し青色申告決算書を作成する
(3)確定申告書を作成する
(4)決算書と申告書をe-Taxで提出する
(5)所得税を納付する
複式簿記の記入に不安がある方は、会計ソフトを活用するのがおすすめです。日々の取引を入力するだけで、帳簿や決算書を自動で作成してくれます。
白色申告の場合
白色申告の場合、簡易簿記での記帳が認められているため、手続きの負担は軽くなります。
(1)日々の収支を簡易簿記で記録する
(2)収支内訳書を作成する
(3)確定申告書を作成する
(4)収支内訳書と申告書を提出する
(5)所得税を納付する
白色申告は複式簿記が不要なため、簿記の知識がない人でも取り組みやすい方法です。ただし、青色申告特別控除などの特典はないため、長期的に見ると税負担が大きくなる可能性がある点には注意しましょう。
なお、青色申告・白色申告どちらの場合も、医療費控除や住宅ローン控除などを受ける際は、各種控除証明書や明細書を手元に用意しておきましょう。所得控除が何か詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
確定申告書の提出方法はe-Taxが主流
確定申告書の提出方法として、現在はオンラインで申告を完了させられるe-Taxを利用する人が増えています。e-Tax以外には、印刷した申告書を税務署へ持参する方法や、郵送で提出する方法もあります。ただ、青色申告の控除額を増やす観点からもパソコンやスマートフォンの操作に慣れているフリーランスエンジニアには、e-Taxの利用がおすすめです。
実際に確定申告を進める際は、以下の記事の注意点も参考にしてください。
フリーランス(個人事業主)がミス無く確定申告を終えるために押さえておくべき11のチェックリスト
フリーランスエンジニアが確定申告を楽に済ませる方法
確定申告の作業を楽に済ませるには、会計ソフトを活用しましょう。日々の取引を入力するだけで、帳簿付けから決算書の作成までを自動化できます。会計ソフトを銀行口座やクレジットカードと連携させれば、取引データを自動で取り込み、入力の手間を減らすことも可能です。
また、確定申告の時期だけ税理士に依頼する方法もあります。日々の帳簿付けは自分で行い、決算書と申告書の作成だけを依頼すれば、費用を抑えつつ専門家の確認を受けられます。
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簡単?大変?確定申告のリアルな体験談
フリーランス歴3年のシステムエンジニア・神宮さんは、1年目は開業や確定申告の手続きについてのルールが分からず、調べることから始めたので大変だったといいます。
ただ、「結局は慣れの部分が大きかったです」と語るように、1年目はやり方を把握するのに苦労したものの、2年目からは同じ作業の繰り返しで簡単になったということでした。初年度は事前に税務署に相談に行き、職員の方から丁寧にやり方を教えてもらいながら確定申告を行ったそうです。神宮さんの詳しいお話は以下のページでご覧ください。
「会社任せにしないキャリア選択へ」家庭を持つパパエンジニアが、フリーランスという道を選んだ理由(大変だったのはフリーランス1年目の確定申告)
確定申告提出後にミスに気がついたら?
確定申告書を提出した後にミスに気づくことは、誰にでも起こり得ます。あらかじめ対応方法を知っておくと焦らず対処できるので以下で詳細を確認しましょう。
確定申告の期限内の場合
確定申告の期限内にミスに気づいた場合は、新たに正しい内容の申告書を提出します。
訂正申告では、最初に提出した申告書は無効になり、後から提出した申告書が正式なものとして扱われます。特別な報告は必要なく、確定申告書を再度提出すれば問題ありません。追加の添付書類がある場合はそちらも合わせて提出します。
確定申告の期限後の場合
確定申告の期限を過ぎてからミスに気づいた場合は、以下のいずれかの対応を行います。
- 確定申告を本来よりも少なく申告していたときは「修正申告」
- 確定申告を本来よりも多く申告していたとき「更正の請求」
修正申告は税務署から指摘を受けるまでいつでもできますが、なるべく早く対応しましょう。税額を多く申告していた場合は更正の請求書を税務署に提出し、内容が認められた場合は還付を受けられます。
いずれの手続きも、国税庁のサイト上で行うことが可能です。
フリーランスエンジニアは税務調査を受けやすい?
国税庁の資料によると、「システムエンジニア」は申告漏れの所得金額が高額な職種の上位10以内に入っています。調査対象になる確率自体は高くありませんが、いざ調査が入った際に申告漏れが大きくなりやすい業種として注意が必要です。
ここでは、フリーランスが調査対象になる確率や調査の内容、対策について解説していきます。
フリーランスが税務調査の対象となる確率
フリーランスが税務調査の対象となるおおよその確率としては、0.5%~1%程度が目安です。ただ、この確率は個人の状況によって変動する可能性があります。たとえば、以下のような年は調査対象として選ばれやすくなるかもしれません。
- 収入が急激に増えた年
- 経費の割合が極端に高い年
- 複数年にわたって申告内容に不自然な変動がある場合
フリーランスエンジニアは、実績を積んで案件単価が高くなる時期や、大型プロジェクトを受注した年などは、収入の変動が大きくなりやすいものです。そうした年は、いつも以上に経費の根拠を明確にしておくことが大切です。
税務調査を受けると起こること
税務調査を受けると、まず税務署から事前に連絡があり、調査日程の調整が行われます(任意調査の場合)。その後、税務署の職員が自宅やオフィスを訪問し、帳簿や領収書などの確認を行う流れです。
もし、申告漏れや不適切な経費計上が見つかった場合、追加で税金を納める必要が生じ、延滞税や過少申告加算税が課されることもあります。調査自体は、通常1日から数日程度で終わることが多く、調査の結果問題なしとされることもあるので必要以上に心配しなくても良いでしょう。
税務調査で慌てないための対策
税務調査で慌てないためには、日々の記帳と証拠書類の保管を徹底することが大切です。取引の記録が整っていれば、調査で質問された際にも、根拠を示しながら説明できます。以下で具体的な対策を確認しましょう。
- 領収書やレシートを取引ごとに整理して保管する
- 経費の使用目的を説明できるようにメモを残しておく
- 家事按分の根拠となる資料を用意しておく
日頃から会計ソフトを使って正確に記帳しておくことが、調査対応の際に役立ちます。不安な場合は、税理士に事前相談しておくと、より安心して対応できるでしょう。
フリーランスの確定申告に関するよくある質問
フリーランスエンジニアの確定申告について、多くの人が抱く疑問をまとめました。
Q. フリーランスエンジニアの経費率はどれくらい?
フリーランスエンジニアの経費率は業種によって差がありますが、おおむね収入の10%から30%程度が目安とされています。一般的に、経費率50%を超えると経費が高額だとみなされやすいので、経費として計上する内容には根拠を持たせることが大切です。
Q. 副業フリーランスも確定申告が必要?
会社員として働きながら副業でフリーランスの仕事をしている場合も、副業による所得が年間20万円を超えるなら確定申告の義務が生じます。副業所得が20万円以下なら確定申告は不要ですが、住民税の申告は別途必要なので覚えておきましょう。
Q. 開業届を出していなくても確定申告は必要?
開業届を出していなくても、一定の所得があれば確定申告は必要です。開業届を出していないと税金面でメリットが大きい青色申告ができないため、早めに提出を済ませておきましょう(青色申告を行うには青色申告承認申請書の提出も必要です)。
Q. 開業の準備にかかった費用は経費にできる?
開業前に支払った費用も、「開業費」として経費に計上できる場合があります。事業を始めるために必要だった支出であれば、開業日より前の費用でも対象になるためです。たとえば、開業のために購入した参考書籍や、名刺の作成費用、事業用のパソコン購入費などが開業費に含まれます。
Q. 領収書やレシートをなくしたら経費にできない?
領収書やレシートを失くした場合でも、銀行やクレジットカードの利用履歴、取引先とのメールのやり取りなどが残っていれば経費として認められる可能性があります。
Q. 確定申告の手続きが不安です。相談できるサポートはありますか?
税務に関する相談先としては、税務署の相談窓口や税理士が一般的です。レバテックフリーランスでは、福利厚生サービス「レバテックケア」を通じて、顧問税理士へ相談できる機会を提供しています。フリーランスになると、税制や確定申告などで分からないことが増えがちです。こうした悩みをお持ちの方に向けて、初回無料で相談できるため、案件に参画された際はぜひご活用ください。
※本記事は2026年8月時点の情報を基に執筆しております。
最後に
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