組み込みエンジニアの年収は?求人動向や仕事内容・転職に役立つスキルは?

経済産業省の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によると、組み込みエンジニアの平均年収は603.9万円です。近年は車や家電など、身近な製品にも多様なコンピュータシステムが使われています。組み込みエンジニアはそれらの開発を行う制御系エンジニアであり、転職にはハードウェアの知識やC言語などのスキルが必要とされます。

なお、職種や年代によって異なるエンジニアの年収が知りたい方は「ITエンジニアの平均年収と給料事情」で紹介しているので併せてご覧ください。

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組み込みエンジニアの平均年収

2017年に経済産業省から発表された「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によると、組み込みエンジニアの平均年収は603.9万円です。

参考 : 経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」
※SE・プログラマ(組込みソフトウェアの開発・実装)の平均年収を参照

なお、顧客向けシステムの開発・実装を行うSE・プログラマの平均年収は588.7万円、ソフトウェア製品の開発・実装を行うSE・プログラマの平均年収は568.5万円でした。これらの業務系エンジニアと比べると、平均年収は若干高めになっています。

また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「IT人材白書2016」における調査では、組み込みエンジニアの年収分布は以下のとおりになっています。

参考 : 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「IT人材白書2016」

組み込みエンジニアの年収分布(IT人材白書2016)

組み込みエンジニアの年収 割合
300万円未満 10.2%
300万円以上500万円未満 37.4%
500万円以上700万円未満 29.6%
700万円以上1,000万円未満 13.4%
1,000万円以上 3.3%
答えたくない・分からない 6.0%
 

同書では、勤務先の業種が「製造業」の組み込みエンジニアは、「情報通信業」の組み込みエンジニアに比べてやや年収相場が高い傾向にあるというデータも示されています。

組み込みエンジニアに転職した場合の年収

前述の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によると、組み込みエンジニアに限らず、ITエンジニアの平均年収はスキル標準レベルが上がるほど高くなっていきます。

未経験で組み込みエンジニアへ転職した場合は、レベル1の「新人・初級者レベル/仕事に慣れ始めたレベル」の平均年収437.8万円が目安となるでしょう。ただし、必ずしもこの年収を得られるわけではありません。転職前の段階で保有しているスキルや経験によっても相場は上下します。

組み込みエンジニアに転職してから経験を積み、1人で業務を遂行できるようになれば、レベル3の「独立して仕事ができる中堅レベル」に該当するでしょう。レベル3の平均年収は576.0万円です。レベル4である「部下を指導できるチームリーダーレベル」になると平均年収は726.1万円になります。

関連記事 : SE(システムエンジニア)の平均年収|男女・年齢別の年収相場

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組み込みエンジニアとは?

組み込みエンジニアとは、家電製品やIoT機器などの制御プログラム、または製品そのものを設計・開発するエンジニアのことです。たとえば、給湯器は温かいお湯を出すシンプルな製品ですが、水を加熱する装置、水温を計るセンサー、ロック解除機構、再加熱機能など、さまざまな部品と制御システムが組み合わさってできていることがわかります。組み込みエンジニアはこういった製品を適切に設計・開発することに特化したエンジニアです。

関連記事 : 組み込み系エンジニアの仕事内容|年収や将来性も解説

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組み込みエンジニアの仕事内容

組み込みエンジニアとは、機械の中に組み込まれているコンピュータを制御するシステムを開発するエンジニアのことです。たとえば、洗濯機や電子レンジなどの家電にも、このシステムが組み込まれています。組み込みシステム開発は、主に以下の工程に分けられます。
 

  • 要件定義
  • 設計
  • 実装
  • テスト
  • デバッグ

要件定義

要件定義では、開発する機器のスペックを決定し、搭載する機能を挙げていきます。

設計

要件定義ができたら、ハードウェアの構成やソフトウェアの基本設計を決めていきます。その後、詳細にハードウェア設計やソフトウェア設計を進めます。

実装

実装工程では、ハードウェアはハードウェア設計のアウトプットである回路図などをもとに、基板の製造を行います。ソフトウェアのほうは、ソフトウェア設計のアウトプットである設計書にもとづいてプログラムの実装を行います。

テスト

組み込み機器は特殊な動作環境で動作させるケースもあるため、環境を準備してからテストをします。

デバッグ

組み込み開発では、開発する環境と実行する環境が大きく異なることも少なくありません。そのため、クロスデバッグといった手法でデバッグを行います。

組み込みエンジニアの仕事の流れそのものは、顧客向けシステムや一般向けのソフトウェア製品の開発と大きくは変わりません。ただし、開発完了後に容易に修正ができないことも多いため、開発時には注意が必要となるでしょう。

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組み込みエンジニアの求人案件

2021年2月時点におけるレバテックフリーランスの「組込・制御エンジニア」の求人・案件数は約20件です。なお、平均月額単価は64万円となっており、最高単価は75万円です。平均単価の12ヶ月分を年収と想定すると、税金・保険料などを差し引く前の平均年収は768万円と計算できます。

組込・制御エンジニアの求人・案件一覧

高単価案件では、2~3年以上の開発経験が求められるケースが多い傾向にあります。開発言語はC言語が中心となっていますが、ネットワークに接続するIoT機器の開発案件ではPHPやPythonによる開発経験者が求められることも少なくありません。また、データベースを扱うためにSQL(データベース言語)やXML(マークアップ言語)などの知識が求められることもあります。

関連記事 : IoTエンジニアの年収|仕事内容や年収アップに役立つスキル、資格を紹介

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組み込みエンジニアになるには

組み込みエンジニアになるには、C言語をはじめとするプログラミングスキルと、ハードウェア、ソフトウェアの知識などを習得していることが求められます。本や学習サイトなどによる独学も可能ですが、効率的に必要な知識を学ぶためにはスクールの活用も視野に入れてみましょう。

組み込みエンジニアは大学の学部が文系でもなれる?

文系出身者でも、組み込みエンジニアになることは可能です。IPAが発表している「IT人材白書2016」によると、組み込みエンジニアは工学系学部や情報系学部の出身が多いようです。しかし、最終学歴の専攻分野を見ると「文学系」学部が3.1%、「経済学系」学部が2.2%、「経営学系」学部が1.8%と、文系出身者も一定数存在しています。そもそも文系から組み込みエンジニアを目指す人が多くないことを考慮すれば、決して「文系から組み込みエンジニアにはなれない」わけではないといえます。

※参考 : IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「IT人材白書2016」
関連記事 : システムエンジニア(SE)に文系から就職できる?|仕事内容はきつい?楽しい?

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組み込みエンジニアが年収を上げるには

組み込みエンジニアがさらに年収を上げるためにはどのようなことが必要なのでしょうか。経験やスキルを磨くことや、転職も含めて、年収をアップさせるための手段を解説します。

  • 組み込みソフトウェア開発の経験を積む
  • 給与の高い企業に転職をする
  • 需要が高い言語のスキルを磨く
  • 将来性のあるスキルを身につける

先述したとおり、IT職種ではスキルレベルが上がると年収もアップする傾向が見られます。実務経験を積んでスキルアップすることが必要となるでしょう。

組み込みソフトウェア開発の経験を積む

組み込みソフトウェアの開発に限りませんが、実務経験やスキルの積み上げは重要です。組み込みソフトウェアは、ハードウェアを制御するソフトウェアであるため、対象となるハードウェアによっては、一般的なソフトウェア開発とは異なる開発手法も用いられます。たとえば「モデルベース開発」という手法があり、制御対象のモデリング、制御対象の解析、コントローラの設計、制御の検証といった順に進められることがあります。

昨今のハードウェアの進化に伴い、制御するソフトウェアも多様化・多機能化が進んでいます。そのため、組み込みソフトウェアの開発においても、実務レベルでの経験の差が転職市場・人材市場での価値の違いにつながります。

給与の高い企業に転職をする

給料の高い企業へ転職することで、年収が上がる可能性があります。同じ業界の組み込みシステム開発であっても、企業や開発する製品によって給料が異なるためです。組み込みエンジニア人材は需要が供給を上回っている傾向にあることから、十分なスキルや経験を持ち合わせていれば、待遇のよい企業を探すことも可能でしょう。

国内における組み込みエンジニアの人材不足もあり、開発拠点を海外に置く企業も増えつつあることから、外資系企業は優秀な人材確保のために、高度なスキルを有する技術者を優遇する傾向があります。ただし、このような求人では英語などの語学力が求められることがあります。

需要が高い言語のスキルを磨く

組み込みエンジニアが年収アップを狙うためには、需要の高い言語のスキルを磨くことも大切です。需要の高い言語を習得すれば、就職できる企業の幅が広がり給料アップにもつながるでしょう。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「組込みソフトウェア開発データ白書2019」によると、組み込みソフトウェア開発では以下のような言語を使用されることが多いため、それぞれの言語について説明していきます。

参考 : 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「組込みソフトウェア開発データ白書2019」

  • C言語
  • C++
  • Java
  • アセンブラ
  • Python

上記のうちC言語、C++、Javaは特徴が似通っている部分もあるため、いずれかをマスターしている人は習得しやすいでしょう。

 

C言語

「C言語」は、組み込みシステム開発において最も重要な言語のひとつです。「組込みソフトウェア開発データ白書2019」の開発言語に関するアンケートにおいても、C言語は最も人気のある言語となっていました。

組み込みシステムでは、メモリ搭載量などのハードウェアリソースが乏しい環境も少なくなく、特にメモリ資源の制御を容易に行うことのできる言語として、現在でも開発の中心で利用される言語です。また、組み込みシステムの動作するOS自体もC言語で開発されているケースが多いことから、OSを含めて細かなハードウェア制御を行うことのできる言語として、当面は不動の地位にあると見込めます。

C++

C言語から派生した「C++」は、オブジェクト指向を取り入れた言語のひとつです。オブジェクト指向により、可読性やメンテナンス性が上がる点や、多数の強力なライブラリが利用できる点がメリットといえるでしょう。そのためC++は、基幹システムやゲームなどの開発でも用いられています。

C++はC言語の機能を拡張したプログラミング言語であるため、従来開発をしてきたC言語での資産を流用しやすく、組み込みシステムの規模が大きくなってきた昨今、開発に利用されるシーンも増えてきています。

Java

近年最も需要の高い言語のひとつといえる「Java」も、組み込みシステムで利用されるようになっています。JavaはJava仮想マシン(JVM)で動作することで、OSなどのプラットフォームに依存することなく動作する環境を提供する「Write once, run anywhere」というスローガンがあります。このJava仮想マシンを動作させるために、C言語に比べると大きなハードウェアリソースが必要です。

しかし、昨今のハードウェアの進化により、そうした制限は軽くなってきています。したがって、組み込みシステムでもネットワークに接続するアプリケーション開発などで利用されるシーンが増えてきています。

アセンブラ

「アセンブラ(アセンブリ言語)」は、コンピュータなどが直接理解する機械語の命令に近い文字列や記号で記述される言語です。アセンブラは機械語に近い「低水準言語」と分類されており、1つの命令が1つの機械語に変換されるのが特徴です。一方、C言語など人間が理解しやすい言葉で記述ができる言語は「高水準言語」と呼ばれます。

アセンブラでは動作を一つひとつ細かく記述しなければならないため、ほかの言語と比べて、より多くのコードを記述する必要があります。また、機械語に近く直接ハードウェアを制御するのに便利な半面、再利用性が低いという側面があります。

現在はアセンブラでなければ記述できないという場面も少なくなっており、組み込みシステムの開発でなければ利用することはほとんどないでしょう。その分、アセンブラを扱えるスキルがあると、転職市場で重宝される可能性もあります。

Python

「Python」は、Web開発で用いられることが多い言語で、標準ライブラリが充実しているのが特徴です。また、豊富なWebアプリケーションフレームワークに加え、「NumPy」などの高速な数値演算ライブラリもあることから、近年ではデータサイエンスやAI開発にも利用されるようになってきました。

組み込みシステムでは、LinuxOS上で動作する組み込みソフトウェア開発などで用いられます。

将来性のあるスキルを身につける

組み込みエンジニアとして年収アップを目指すためには、将来性のあるスキルを身につけていくことも重要です。独立行政法人情報処理推進機構から2020年に発行された「IT人材白書2020」では、2~3年前と比較してIT企業で拡大した事業の調査結果を掲載しています。従業員301名以上の企業では、拡大した事業として最も多かった回答は「IoT、ビッグデータ、AI関連サービスの開発・提供」でした。従業員301人以上1,000人以下の企業では57.4%、従業員1,001人以上の企業では65.2%が上記の事業が拡大したと回答しています。

参考 : 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「IT人材白書2020」

このことから、以下のようなスキルを身につけることで給料アップが期待できるでしょう。

  • IoTシステム開発のスキル
  • 組み込みAI開発のスキル

近年、IoTやAI技術などが着目されており、組み込みソフトウェアの分野においてもこれらのスキルを有する人材は高く評価されているため、高い年収を得ることが期待できます。特にAIビジネスは大きく拡大傾向にあるため、企業は機械学習などに関する知識やスキルを持つ人材の確保を望んでいます。新技術の動向を常に追いかけてトレンドをキャッチアップすることで、市場価値の高い組み込みエンジニアになれるでしょう。

IoTシステム開発のスキル

最近よく耳にする「IoT(Internet of Things)」とは、「モノのインターネット」という意味です。これはいろいろなモノがインターネットに接続されることで、それぞれのモノからさまざまな情報を取得し、その情報を幅広いサービスに活用する仕組みを指します。

モノが情報を取得するためにはセンサーが不可欠であり、それぞれのモノがセンサーを制御するためには、組み込みシステムが必要です。また、それぞれのモノはネットワークに接続されることから、IoTシステム開発には、組み込みシステムとして各種センサーに関する知識やネットワークに関する技術が必要になります。

組み込みAI開発のスキル

IoTと同様にトレンドとなっているAIとは、「人工知能(Artificial Intelligence)」の略です。AIを簡単に説明すると「コンピュータを使用して、人間の知能(理論、推論や問題解決など)を人工的に実現する機能」ということになります。

AIは、主に人間が今まで行っていた計算や分析といった処理を人の手に変わって実行することを目的に開発されています。これらの処理のためにはAIが判断基準などを学ぶ必要があり、「機械学習」などの手法を通して習得させています。この機械学習向けの主要なプログラミング言語として使用されるのがPythonです。

組み込みAIには、主に2つの実現方法があります。ひとつは組み込みシステム内で完結するもの、もうひとつはIoTと結びつき、クラウド上に環境を構築して実現するものです。スマートフォンの音声認識なども身近な組み込みAIであり、これからもAIを用いたさまざまな機能が実現されていくでしょう。

関連記事 : Pythonエンジニアの平均年収|他言語との年収比較や未経験からの入門・転職方法

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組み込みエンジニアの年収アップに役立つ資格

組み込みエンジニアの仕事に役立つ可能性がある資格として、国家資格や民間団体による試験制度があります。

  • 基本情報技術者試験
  • 応用情報技術者試験
  • エンベデッドシステムスペシャリスト試験
  • ETEC(組込み技術試験制度)

基本情報技術者試験、応用情報技術者試験、エンベデッドシステムスペシャリスト試験の3つはIT系の国家資格で、ETEC(組込み技術試験制度)は一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)が開催する試験です。

 

基本情報技術者試験

「基本情報技術者試験」は、経済産業省が認定している国家資格です。出題範囲には、コンピュータ科学の基礎から、ネットワーク技術、データベース技術などが含まれており、組み込みシステムの開発にも役立つ内容が多くあります。

参考 : 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「基本情報技術者試験」

試験の出題範囲は幅広く、ソフトウェア、ハードウェア、ネットワーク、セキュリティといったIT知識やプログラミングに関する問題が出されることから、情報系の学生やシステム開発会社の新入社員がまず取得する資格ともいわれています。2019年の合格率は25.7%となっており、しっかり対策をすればそれほど難易度が高くない試験といえるでしょう。

応用情報技術者試験

「応用情報技術者試験」は、基本情報技術者試験の上位の国家資格です。実務経験を積んだエンジニアを主な対象としており、システムのアーキテクチャ設計、プロジェクトマネジメント、経営戦略、組み込みシステムなどに関する幅広い知識が必要とされます。基本情報技術者試験と比べると、出題内容はより深い知識と応用力を求められるうえに、単なる知識ではなく論理的な回答を求められる記述問題もあります。

参考 : 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「応用情報技術者試験」

試験の合格率は2019年度で22.3%となっており、合格率としては基本情報技術者試験と大きな差はありませんが、上記のような知識が必要となることから、プロジェクトで実際に開発した経験がないと取得するのは難しいでしょう。

取得することで、組み込みシステム開発にも必要な基礎知識を有していることを証明できるため、就職・転職に役立つ可能性があります。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験

「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」は、応用情報技術者試験の上位の資格となる国家資格です。高度情報処理技術者試験のうち、組み込みシステムに特化した試験となっています。組み込み開発のスペシャリストを目指す人は取得をおすすめします。

参考 : 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」

出題内容は、組み込みソフトウェアおよびハードウェアの設計、電子回路、IoTなどが含まれます。2020年度の合格率は16.4%となっており、難易度は高めです。組み込みシステムという領域に特化した試験のため、情報処理技術者試験の各区分の中でも年間の受験者数は2,500名程度と少なくなっています。組み込みシステムに関する幅広い知識が要求されるため、実務経験者でも対策を怠ると合格が難しいかもしれません。

ETEC(組込み技術試験制度)

「ETEC(組込み技術者試験制度)」は、一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)が運営する組み込み技術者向け試験制度です。

参考 : 一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)「ETEC(組込み技術者試験制度)」

クラス2(エントリレベル)とクラス1(ミドルレベル)と2つのクラスがあります。試験は800点満点中の得点によって、合否ではなくA・B・Cのグレードが決定する方式となっています。なお、グレードAが最も高い評価となります。クラス1はクラス2の試験で800点満点のうち500点以上を取った人のみ受験が可能です。

クラス2の試験は学生なども受験できるレベルの試験ですが、それでも、プロセッサやソフトウェア、クロス開発、ソフトウェア設計、品質マネジメント、通信規格などから幅広く出題されます。そのため、クラス2のグレードAであれば、組み込みエンジニアのエントリレベルに要求される組み込み技術を十分に保有しているとみなすことができるでしょう。

情報処理技術者試験と同様に組込みスキル標準(ETSS)からの出題であるため、スキルアップはもちろんのこと転職にも役立つでしょう。

参考 : 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「組込みスキル標準(ETSS Series)」
関連記事 : システムエンジニア(SE)に必要な資格|難易度や取得方法、独学のポイントは?

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組み込みエンジニアの年収アップにつながるキャリアパス

組み込みエンジニアのキャリアパスでは、主に以下の2つが挙げられます。

  • 管理職を目指す
  • スペシャリストを目指す

管理職を目指す

管理職を目指す場合は、プロジェクトリーダーを経てプロジェクトマネージャーになるキャリアパスが一般的でしょう。プロジェクトマネージャーはプロジェクトの予算、人員、品質、スケジュールなど全体を管理する役職です。そのため、自分が実際に開発する機会は少なくなるでしょう。管理業務が好きな人に向いているキャリアパスです。

スペシャリストを目指す

スペシャリストを目指す場合は、特定の分野に特化する「ITスペシャリスト」を目指すというキャリアパスがあります。経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構が定めるITスキル標準(ITSS)をもとにした定義によると、ITスペシャリストはプラットフォーム、ネットワークなどの6分野に区分され、それぞれの分野で専門的なスキルを持つエンジニアを指します。特定分野の技術を極めたい人に向いているキャリアパスです。

参考 : 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「職種の概要と達成度指標(6)ITスペシャリスト」
関連記事 : プロジェクトリーダー(PL)の平均年収|PMとの役割の違いや仕事内容も解説

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スキルを磨いて転職・独立すれば年収アップが望める

ネットワークに接続されるモノが増えるほど制御するプログラムが必要となり、組み込みエンジニアの需要はさらに高まっていくと見込まれています。実務経験を積み、IoTやAIをはじめとする需要の高い開発スキルを磨くことで、キャリアアップや転職、独立による年収アップを目指しやすくなるでしょう。

関連記事 : AIエンジニアの平均年収|未経験から目指す方法や注意点、役立つ資格も紹介

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組み込み系エンジニアの将来性

最後に、組み込み系エンジニアの将来性についてまとめました。

いま、組み込み系エンジニアの需要が高まっている

IoTへの関心が高まりつつある中、身の回りの様々なものがインターネット化しています。組み込みソフトウェアの需要が急増する一方で、開発を行う組み込みエンジニアの数が不足しているというのが現状です。

組み込み系エンジニアは定年まで働けるという噂

組み込み系エンジニアはつぶしの利く職種だという説がありますが、なぜでしょうか。そう思われている理由を3つまとめました。

開発環境が安定している

組み込み系開発は業界や扱う製品により開発環境が異なりますが、OSや開発ツールといった根幹の環境はあまり変化しないため、応用が利きやすいようです。

長く使われる製品も多い

組み込み系では製品がアップデートされるまでの期間も長く、何年もの間同じ製品のメンテナンスを手がけることもあります。

知識が深い

ハードウェアとソフトウェア両方の知識を持っていることや、OSに関する深い知識を持っていることなどから、他職種へのキャリアチェンジも比較的容易でつぶしが利きやすいだろうという見方があるようです。

関連記事 : システムエンジニア(SE)の将来性|これからのIT業界で需要があるスキルや資格
組込・制御エンジニアの求人・案件一覧

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組み込みエンジニアの年収に関するよくある質問

ここでは、組み込みエンジニアの年収に関するよくある質問に答えていきます。

Q. 組み込みエンジニアの平均年収はどの程度ですか?

組み込みエンジニアの平均年収は約501.2万円程度です。

Q. 組み込みエンジニアにはどんなスキルや知識が必要ですか?

組み込みエンジニアにはプログラミングスキル、アセンブリ言語の知識、OSの知識、マイコンの知識、ハードウェアの知識、ソフトウェアの知識等が必要です。

Q. 組み込みシステムではどのプログラミング言語を使用していますか?

組み込みシステムではC、C++、Python、MicroPython、Java等の言語を使用しています。

Q. 組込みソフトウェア技術者試験クラス1の受験料はいくらですか?

組込みソフトウェア技術者試験クラス1の受験料は20,000円(税抜)です。

Q. 組み込みエンジニアはどんな業界で活躍していますか?

組み込みエンジニアは家電業界、情報・通信機業界、産業機械業界、ゲーム業界等で活躍しています。

※本記事は2022年2月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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