独立開業に必要な資格とは?IT職が活かせるスキルや独立手続きも解説 | レバテックフリーランス
独立開業に必要な資格とは?IT職が活かせるスキルや独立手続きも解説
- IT職が開業にあたり資格を取得するメリットの一つとして、社会的信頼度の向上がある
- IT職の開業に有益な資格は、データベーススペシャリスト、システムアーキテクトなど
- 資格以外に、複数の言語力や英語力、自己管理能力、コミュニケーション能力などもあると良い
飲食店や医療関係など、開業時に資格を必要とする職種もありますが、IT業界では独立にあたり必須とされる資格はありません。しかし、開業前に行ったほうが良い準備や、資格以外に持っておくと役立つスキルはあります。「IT業界で独立開業したい」と考えている方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。
開業届や確定申告など、独立時に知っておくべき豆知識については以下の関連記事を併せてご覧ください。
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目次
IT職が開業するうえで資格を取得するメリットとは
IT職は、開業するうえで必要とされる資格はありません。しかし、経営に関する資格や専門知識に関する資格など、有益性の高い資格を取得していると以下のようなメリットがあります。
- 経営戦略を立てやすくなる
- 社会的な信用を得やすくなる
- 専門的な知識を有していることで業務をスムーズに進められる
- 案件参画や収入アップにつながりやすい
メリットの詳細について、確認していきましょう。
経営戦略を立てやすくなる
税や経理といった、法・資金に関する資格を取得するメリットは、事業を行う上で適切な経営戦略を立てやすくなることです。世情や事業に変化があっても、自分自身で定期的に経営状況を把握していることで、早い段階での軌道修正が行えます。
社会的な信用を得やすくなる
先述したような経営に関する資格は、「自社の状況を客観的に見られる会社である」と他社に安心してもらえる材料になります。経営戦略に関する専門的な意見も発信できるため、契約・ビジネス提案時の説得力も増すでしょう。
専門的な知識を有していることで業務をスムーズに進められる
経験の浅い領域であっても、資格取得による専門知識の獲得で、業務を滞りなく進められる可能性が高まります。「未経験可」とされている案件にも、参画しやすくなると考えられるでしょう。
案件参画や収入アップにつながりやすい
国家資格や専門資格など、有益性の高い資格を取得していると、案件参画や収入アップにつながります。これらの資格は取得するのに高度な知識・技術が求められるため、持っているだけでハイレベルな人材であることをアピールできるためです。それにより交渉もしやすくなり、最初に提示された金額よりも多い単価で引き受けられる可能性もあります。
エンジニアの年収事情を確認しておきたい方は「ITエンジニアの平均年収と給料事情|年収1000万円を目指すには?」を参考にしてください。
資格がなくても開業しやすい職種
資格がなくても開業できる職種の代表例を、以下でご紹介します。
- IT職
- デザイナー
- ライター
理由について確認していきましょう。
IT職
IT系の職種は、作業時間・場所に縛られない場合が多く、自由に活動できることが開業するメリットの1つとして挙げられています。IT系の中でも、特に開業しやすい職種についてまとめました。
SE(システムエンジニア)・プログラマー
SEやプログラマーの業務は、インターネットがつながっているパソコンがあれば完結するものがほとんどです。「期日までに納品されれば良い」「メンバーと情報共有する時間さえ設ければ業務時間は問わない」とする取引先も多く、開業時の自由度が高い職種といえるでしょう。取引先や、参画先のチームメンバーとはコミュニケーションツールを使って連絡できるため、問題が発生しても解決しやすいです。
エンジニアにおすすめの資格は「エンジニア向けの資格|取得すべき資格やメリットは?」でご紹介していますので、ぜひ合わせて参考にしてください。
アプリケーションエンジニア
「業務」「組み込み」「スマホ」「Web」など、クライアントの要望に応じてアプリケーションを開発するアプリケーションエンジニアも、SEやプログラマーと同じ理由で開業しやすい職種です。
また、アプリケーションエンジニアの場合は、個人で開発したアプリケーションでも収入を得られます。ただし、アプリケーションは新作のリリースが多く、ニーズの変動も大きいため、こまめな市場調査と対応が求められることを認識しておきましょう。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、IT関連と経営に関する知識のほか、プレゼンテーション力やマネジメントスキルがあれば独立しやすい職種です。求められるスキルは多めですが、DX化を進める企業は増えているため、需要が高くやりがいも感じやすいといえるでしょう。
デザイナー
WebサイトやWebサービスに関するデザインを行う職種です。デザイン系のツールを使えばどこでも作業ができるほか、取引先への諸連絡や納品もインターネットで完結します。
案件はSNSやクラウドソーシングサービスなどで見つけることもできる点も魅力といえるでしょう。
ライター
Webや紙媒体において、記事を書きます。1文字あたりで単価が決められていることが多め。専門的な知識を要する記事の作成依頼の場合は、単価が高くなるというように、求められるスキルや知識、経験によって相場が異なる場合もあるようです。
高収入を得るには、ライティングスピードを上げるほか、専門的な知識を得るといった努力が必要といえるでしょう。
IT職が独立した際に有益性の高い資格
独立を目指すIT職にとって有益な資格について、職種別にご紹介します。
エンジニア職
エンジニア系の職種の場合は、以下の資格が有益です。
- データベーススペシャリスト
- システムアーキテクト
資格の内容についてそれぞれ解説していきます。
データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリストとは、データベースに関する高い技術を有していることを証明する国家資格です。データベースとは、目的に応じて集められた数値・テキスト・画像をはじめとするデータの集合体のことを指し、この情報をもとに課題の抽出・解決策の提案を行います。
ビジネス展開・発展には情報分析と課題解決が欠かせないことから、データベーススペシャリストの資格取得者は多くの企業に求められるようです。
システムアーキテクト試験
システムアーキテクトは、システム開発における上流工程を担当するうえで必要な知識・スキルを問われる国家資格です。システム全体の構造設計をはじめ上流工程を主導できる、上級エンジニアへのアドバイスも可能であることから、取得していると重宝されます。
マネージャー職
マネジメントを担っていきたい方は、以下の資格を取得していると有益です。
- プロジェクトマネージャー
- ITストラテジスト
それぞれの資格内容について説明していきます。
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトを成功させるための、計画・実行・管理スキルを要しているかが問われる国家資格です。資格を取得していると「中小企業診断士試験」「弁理士試験」「技術士試験」「ITコーディネータ試験」の一部試験科目が免除されます。IT業界のみならず、幅広い分野においてハイレベルなスキルを有していることが証明できるといえるでしょう。
ITストラテジスト
ITストラテジストは、企業の経営戦略に基づき、情報技術を活用して戦略の策定・提案・推進するスキルを有していることを証明する国家資格です。
「在宅ワークで有利なおすすめ資格22選|国家資格から民間資格まで」には、このほかの情報系資格についてまとめていますので、あわせてご活用ください。
IT職が開業するときに活かせるスキル
IT業界で個人事業主として独立開業する際、資格以外には以下のようなスキルがあると良いとされています。
- 複数の言語力
- 英語力
- 自己管理能力
- コミュニケーション能力
複数の言語力
複数の言語を身に付ければ、参画できる案件の幅を広げるチャンスが生まれます。たとえば「Java」だけでなく「PHP」、さらに「Ruby」「Swift」というように、徐々に扱える技術を増やしていくと良いでしょう。
英語力
新しい情報やプログラムなどは、国外から発信されることも多くあります。英語を理解できる能力があれば、いち早く最新の情報を取り入れられる可能性が高くなるでしょう。
自己管理能力
自由度の高い個人事業主は、公私を自分で管理する必要があります。自分がこなせる案件数や時間配分、優先順位などを把握して取り組むことが必須といえるでしょう。また、体調を崩せばクライアントに迷惑をかける恐れもあるため、体調管理も大切といえます。
コミュニケーション能力
人脈の構築やクライアントとの意思疎通で必要なのが、コミュニケーション能力です。コミュニケーション能力の高さは、営業力や交渉力にもつながります。
このほかのフリーランスに求められるスキルは「フリーランスに必要なスキルを紹介!習得方法や成功のコツも解説」でご確認ください。
IT系以外の開業で必要な業界・職種別の資格
IT関連以外の業界や職種での開業には、どのような資格が求められるかを確認していきましょう。
士業
士業とは、末尾に「士」を用いる、高度な専門資格を有した職業を指します。弁護士、検事、判事以外の士業は、資格名と職業名が同じであることが多いです。
- 土地家屋調査士
- 不動産鑑定士
- 社会保険労務士
- 中小企業診断士
- 公認会計士
- 税理士
- 弁理士
- 司法書士
- 行政書士
- 司法試験(弁護士/検事/判事)
いずれも難易度が高いため合格に時間を要する人が多いものの、取得後は高収入が見込めます。
飲食関係
飲食店を開業するためには、以下の2つの資格を取得する必要があります。
- 食品衛生責任者
- 防火管理者
扱う食品や特定の加工・調理を行う場合などは、以下のような資格も求められるため、事前に確認しておきましょう。
扱う食品・特定の加工/調理 | 必要資格 |
---|---|
ふぐの調理 (有毒部位の除去・塩蔵処理など) | ふぐ調理師免許 |
生食用食肉の加工・調理・販売 | 認定生食用食肉取扱者 |
また、資格ではないものの営業に関する届出もしなければなりません。届出の詳細は厚生労働省が発表している「営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報」でご確認ください。
医療関係
医療分野で開業できる資格としては、以下のようなものが挙げられます。
- 医師
- 薬剤師
- 看護師
- 助産師
- 保健師
- あん摩マッサージ指圧師
- 柔道整復師
- 臨床心理士
人の命や心身の健康に関わる医療分野では、高い専門性が求められます。その分資格取得の難易度も高めですが、高収入が見込める傾向があるのも特徴です。
美容関係
独立開業しやすい美容関係の例として、以下の職種に求められる資格について紹介します。
- 美容師
- ネイリスト
- エステ
開業時には必須ではない資格もありますが、資格を取得していることで、スキルの証明やお客様からの信頼感につながることもあります。しっかりとチェックしておきましょう。
美容師
美容師が独立開業する場合は、「美容師免許」の取得が必要です。さらに従業員を雇用する場合は、「管理美容師資格」も求められます。前者は専門学校の卒業で、後者は3年以上の実務経験と講習の受講により取得可能です。
ネイリスト
ネイリストが独立開業する際に、資格は不要です。しかし、スキル証明やお客様からの信頼を得るためにも、それぞれ「ネイリスト技能検定」「JNAジェルネイル技能検定」を取得しておくと良いでしょう。
エステティシャン
エステティシャンとしてのスキルを示す資格としては、認定エステティシャンがありますが、サロンの開業やエステのみの提供であれば独立にあたり特に資格は必要ありません。
なお、業務内容によって必要な資格がありますので、以下の表で確認しておきましょう。
業務内容 | 必要資格 |
---|---|
眉カット・まつ毛エクステ・メイク | 美容師免許 |
カミソリを使用するシェーディング | 理容師免許または医師免許 |
医療脱毛 | 医師免許または看護師免許(医師の指示下での作業) |
改めて、フリーランス向けの資格を確認したい方は「フリーランスが習得すべき資格を職種別に紹介!取得するメリット、あわせて必要なスキルも解説」も参考にすると良いでしょう。
開業の準備事項
独立開業する前に、以下の準備をしておくと安心です。
- 独立開業前に借り入れをしておく
- 経験を積み実績を作っておく
- 経営・お金に関する知識を身に付けておく
- 人脈も構築しておく
理由について、以下で解説します。
独立開業前に借り入れをしておく
社会的信用度によって、借り入れできる金額は変わります。信用度が低ければ、そもそも借り入れできない恐れも。開業直後は実績のなさから信用度が低いと判断されやすいため、安定した収入を得ているうちに借り入れをしておくと安心です。
経験を積み実績を作っておく
クライアントは、実務経験の多さや参画した案件の規模の大きさ、スキルによって、プロジェクト遂行にあたって必要な能力があるかを見極め依頼するかを検討します。あらかじめ数多くの実績を積んでおくことで、開業後に提示できる内容が増え、ほかのフリーランスと差をつけやすくなるでしょう。
経営・お金に関する知識を身に付けておく
開業後に安定した経営を続けるためには、長期的な経営戦略を立てたり、黒字化するための仕組み作りをしたりする必要があります。見切り発車で失敗しないためにも、事前に経営に関する知識を蓄えておくと安心でしょう。
加えて、経営の知識とセットで身に付けておきたいのがお金に関する知識です。お金にルーズだと信頼の低下にもつながりかねないため、適切に資金の管理ができるよう前もって学んでおくことをおすすめします。
人脈も構築しておく
開業後は、自分自身で営業活動を行って案件に参画していきます。知人からの紹介により案件を得られることも多いです。事前に人脈を構築していれば、その機会は増やしやすいといえるでしょう。また、案件獲得につながらなくても、情報収集や新たな出会いで活かせる場合もあります。
独立開業時の手続き
独立開業時の手続きでは、以下の書類を然るべき場所に提出しましょう。
- 開業届の提出
- 青色申告承認申請書の提出
書類の大まかな内容や手続きについて解説していきます。
開業届の提出
開業後1ヶ月以内に、開業届と呼ばれる「個人事業の開業届出・廃業届出書」を、納税地を所轄する税務署へ提出します。開業届は、事業の開始をはじめ、事務所の新設・増設・移転・廃止などでも提出が求められる書類です。
開業届の書き方を知りたい方は「個人事業主の開業届ガイド|出さないとどうなるか、書き方・必要なもの」をご覧ください。
参照:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
所得税の青色申告承認申請書の提出
青色申告を受けたい方は、申告したい年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を税務署へ提出する必要があります。もし1月16日以後に事業を開始した場合は、2ヶ月以内が期日です。
青色申告は、該当する内容によって65万円・55万円・10万円のいずれかの控除を受けられる制度。赤字があった際も、3年間の繰越が可能です。
参照:A1-8 所得税の青色申告承認申請手続|国税庁
ほかにも、屋号の決定や印鑑の準備、Webサイトの立ち上げや口座開設など、準備をしておくと良いとされているものがあります。クレジットカードの作成やローンの契約なども、会社員のうちに済ませておいたほうがよいでしょう。
開業に必要な資格に関するよくある質問
ここでは、開業に必要な資格に関するよくある質問に答えていきます。
Q. IT職が独立した際に、資格を取得するメリットは何ですか?
IT職が独立した際に資格を取得することで、専門的な知識を習得することができます。また、自身のスキルを証明し、市場競争力を高めることができます。
Q. SEやプログラマーが開業しやすい理由は何ですか?
SEやプログラマーは需要が高く、インターネットがつながっているパソコンがあれば始められるため開業しやすいです。
Q. 案件を探す際に、クラウドソーシングサービスを利用する利点は何ですか?
クラウドソーシングサービスは、案件の数や多様性が豊富です。自身で仕事を選べて、国内外の案件を受けることができます。
Q. ITストラテジストの資格を取得することで、どのような職種で活躍できますか?
ITコンサルタントやCTOといった、企業のIT戦略の策定・提案・推進を担当する職種での活躍が期待できます。
Q. 開業するための資金を調達するためには、どのような方法がありますか?
開業するための資金調達方法には、銀行からの融資、ビジネスローン、友人や家族からの借金、補助金等の利用などがあります。
※本記事は2024年1月時点の情報を基に執筆しております。
最後に
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