フリーランスで年収1,000万円の手取りは?支払う税金・保険料も解説

「フリーランスで年収1,000万円の場合の手取り額はいくら?」「税金や保険料はどれくらい?」と気になる方のために、税金や手取りについて解説します。

具体的なシミュレーションをもとに、年収1,000万円のフリーランスが支払う税金や保険料、手取り額を詳しく紹介。年収1,000万円のフリーランスが損をしないための節税対策も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

フリーランス初心者のためのさまざまな知識については、以下の記事で解説しているので併せて参考にしてみてください。
【2023】フリーランス初心者におすすめの職種、案件の探し方、必要手続き

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フリーランスが年収1,000万円のときの手取り額

まずは、レバテックフリーランスの案件ページにある月間収支シミュレーションをもとに、年収1,000万円に近い金額として、月額単価85万円の12カ月分、年収1,020万円のときの税金・保険料の目安を紹介します。

  金額
年収 1,020万円
所得税 94万4,700円
住民税 69万6,096円
国民年金 19万6,920円
国民健康保険 81万1,356円
手取り額 755万928円


これは【世田谷区在住/30歳/独身・扶養なし/国民年金加入/常駐型フリーランス/青色申告/月額経費10万円】を条件としたシミュレーションです。

また、データ参照時は次の点にもご注意ください。

  • 手取り額に経費代は含まれない
  • 所得の算出方法は(月額単価×12カ月)-(経費×12カ月)
  • 年間所得額をもとにした所得税、住民税(世田谷区)、国民健康保険額
  • 消費税は課税売上高(前々年)が1,000万円以下だった場合を想定して算出

上記をもとに算出した、年収が1,000万円のフリーランスの手取りは約755万円です。ただし、この金額は2020年2月時点の法令に基づく簡易計算であるため、実際の支払い額は変動する可能性があります。一つの目安として参考にすると良いでしょう。

フリーランスエンジニアの手取り|税金の計算方法と年収・月収別のシミュレーション」では、年収1,000万円以外の年収の詳しいシミュレーションも紹介しています。ぜひ併せてご確認ください。

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フリーランスが支払う税金と保険料

続いて、フリーランスを含む個人事業主が支払う(または支払う可能性がある)税金と保険料の種類を解説します。

税金の種類

フリーランスが支払う税金には、次のようなものがあります。

  • 所得税
  • 住民税
  • 個人事業税
  • 消費税
  • 固定資産税

それぞれについて、以下で詳しく解説します。

所得税

所得税とは、個人の所得にかかる税金のことです。所得金額は次の計算式で導き出します。

収入-経費-青色申告特別控除(青色申告をした場合)-所得控除=課税所得金額

実際に支払うことになる所得税額は、上記の課税所得金額に税率をかけたものとなります。

課税所得金額×所得税率-控除額=所得税額

所得税率は課税所得金額により異なります。以下の表をご覧ください。

課税対象となる所得金額 (1,000円未満の端数は切り捨て) 所得税率(%) 控除額
1,000円~194万9,000円 5% 0円
195万円~329万9,000円 10% 9万7,500円
330万円~694万9,000円 20% 42万7,500円
695万円~899万9,000円 23% 63万6,000円
900万円~1799万9,000円 33% 153万6,000円
1,800万円~3999万9,000円 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円

※参考 : 所得税のしくみ|国税庁
※参考 : No.2260 所得税の税率|国税庁

住民税

住民税は、都道府県および市区町村に支払う税金です。住民税には、所得金額に応じて課税される「所得割」と、自治体ごとに居住者に均一に課税される「均等割」があり、この2つの合計額を納付します

住民税率は自治体により多少異なる場合があるので、気になる方はお住まいの市区町村のWebサイトをチェックしたり、問い合わせたりしてみましょう。

個人事業税

個人事業税も、個人事業主やフリーランスが都道府県に対して支払う場合がある税金です。

注意しなくてはならないのは、営んでいる業種によって税率が変わったり(3%~5%)、個人事業税自体がかからなかったりすること。準委任契約を結ぶ企業常駐型のフリーランスエンジニアのように、基本的には個人事業税が課税されない業種もあります(ただし、業種の区分は事業の実態をもとに判断されるため、課税対象となるケースもあり得ます)。

※参考:「個人事業税」|東京都主税局

消費税

消費税は、商品販売やサービス提供といった取引に対して公平に課税されます。会社員の給与・賃金には消費税が課税されませんが、対価が得られる取引には、たいてい消費税が課されると覚えておきましょう。

従業員を雇っていないフリーランス(個人事業主)に納税義務が発生する=課税事業者となるのは、前々年の課税売上高が1,000万円を超えたときです。もし前々年の課税売上高が1,000万円以下であった場合は、納税義務が免除される免税事業者となります。

※参考 : 消費税のしくみ|国税庁
※参考 : No.6157 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例|国税庁

固定資産税

固定資産税は、所有する固定資産の価格に応じて課せられる税金のことです。持ち家の自宅を仕事場としているフリーランスの場合は固定資産税がかかります

固定資産税は、自分で申告する必要はありません。所有する固定資産がある市区町村から届く納付書に記載された納税額を納期内に納めます。

なお、固定資産税額の金額見直しは原則として3年ごとに行われます。これは、対象となる土地と建物の、その時点での適性な価格を課税標準とするためです。

固定資産税についてさらに詳しく知りたい方には、「『固定資産税』について押さえておきたい基本と計算方法」の記事もおすすめです。ぜひご参照ください。

保険料の種類

フリーランスが支払う保険料としては、以下の2つが挙げられます。

  • 国民健康保険料
  • 国民年金保険料

それぞれについて見ていきましょう。

国民健康保険料

国民健康保険は、基本的に被用者保険適用者ではない人が全員加入することになる健康保険です。

国民健康保険の運営母体は市区町村、または国民健康保険組合。納める保険料は、国民健康保険の種類や、市区町村運営のものであれば居住する自治体によっても異なります

フリーランスの健康保険については、「フリーランスが加入するべき健康保険は?リスク回避に有効な民間サービスも」でも紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。

※参考 :「国民健康保険制度の概要」 |厚生労働省

国民年金保険料

フリーランスが支払うもう一つの社会保険料が、国民年金保険料です。国民年金は、国内在住の20歳以上~60歳未満の人が加入する保険です。

フリーランスの場合は、原則として「第1号被保険者」に該当します。会社員からフリーランスに転向して厚生年金の加入資格を喪失したときには、国民年金の切り替え手続きを忘れずに行う必要があります

※参考:「国民年金保険料」|国民年金基金

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「税金が高すぎる」と思う方におすすめの節税対策

ここでは、「税金が高すぎる」と感じる年収1,000万円のフリーランスに有効な4つの節税対策を紹介します。

  • 経費を正確に計上する
  • 所得控除を受ける
  • 青色申告で確定申告を行う
  • 法人化する

上記の対策を適切に行えば、納める税金額を軽減させることも可能です。

経費を正確に計上する

経費になるものを正確に計上すれば、課税所得を下げ、節税につなげられる可能性があります

たとえば、自宅で仕事をするフリーランスの場合、家賃や水道光熱費の一部は家事按分で経費に計上することができます。また、事業に関連する個人事業税や消費税などの税金も「租税公課」として経費に計上できる場合があるので覚えておくと良いでしょう。

経費については、「フリーランスが知っておきたい経費になるもの・ならないもの」でも紹介しているので、ご参照ください。

所得控除を受ける

所得控除を活用することも節税対策には有効です。所得控除には下記のとおり多くの種類があります。

  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 寄附金控除
  • 障害者控除
  • 寡婦控除
  • ひとり親控除
  • 勤労学生控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 基礎控除

控除を活用するか否で課税所得が大きく変わる可能性があります。控除の種類ごとに受けられる条件は異なるため、しっかりと確認しましょう。

各控除について、さらに詳しく知りたい方は「所得控除の種類」で紹介しているので併せてご確認ください。

参考:「No.1100 所得控除のあらまし」|国税庁

青色申告で確定申告を行う

節税をしたいフリーランスは、青色申告で確定申告を行いましょう。青色申告は、開業届を提出して個人事業主となることで利用できる確定申告方法です。

青色申告で確定申告を行うことで、得られる主なメリットは以下の4つです。

  • 最大65万円の青色申告特別控除を受けられる
  • 繰越控除を受けられる
  • 備品の経費(30万円未満)を一括計上できる
  • 家族従業員の給与を経費に計上できる

それぞれのメリットについて解説します。

最大65万円の青色申告特別控除を受けられる

青色申告では、10万円・55万円・65万円の特別控除のいずれかが受けられます

10万円の控除の場合は、単式簿記(簡易簿記)で済ませることが可能ですが、最大控除額である65万円の控除を受けるには、複式簿記に沿った記帳に加え、e-taxによる確定申告や電子帳簿保存も必要です。複式簿記は単式簿記に比べ、帳簿管理が複雑ですが、年収1,000万円のフリーランスであれば節税のために行う価値はあるでしょう。

参照:「No.2072 青色申告特別控除」|国税庁

繰越控除を受けられる

青色申告では、事業で赤字(純損失)が発生しても最大3年間繰り越して控除を受けることが可能です。3年間という制限はありますが、黒字になったタイミングで繰り越した赤字を相殺し、納める税金を大幅に減らせるのはフリーランスにとって大きなメリットと言えるでしょう。

備品の経費(30万円未満)を一括計上できる

青色申告の場合、パソコンやコピー機、机、椅子などの備品は1個(1組み)あたり30万円未満であれば経費として一括計上することができます。白色申告では一度に経費に計上できる範囲は10万円未満までなので、フリーランスであれば青色申告をした方がメリットが大きいでしょう。

家族従業員の給与を経費に計上できる

一定の条件を満たせば、家族従業員に支払う給与も全額経費(青色事業専従者給与)として計上できるのも青色申告のメリットの一つです。たとえば、家族従業員1人に月10万円の給与を支払っているとすれば、年間120万円を経費として所得から差し引くことができます。青色申告でなくても従業員の給与は経費にできますが、全額計上されるわけではないため、青色申告の方が節税効果は高いと言えるでしょう。

ただし、青色事業専従者となった家族は、控除対象配偶者や扶養親族になれない点には注意が必要です。

参考:青色事業専従者給与に関する届出手続|国税庁

青色申告のやり方」では、青色申告についてさらに詳しく解説しています。こちらの記事もぜひ併せてご参照ください。

法人化する

1,000万円の年収を得るフリーランスであれば、法人化を検討するのも節税対策としては有効です。

フリーランスの所得税率は、所得に応じて5%~45%の幅で推移し、年間所得が695万~900万円未満の税率は23%、900万~1,800万円未満の税率は33%になります。一方、法人(普通法人)の場合、年間所得800万円以上の税率は23.2%です。つまり、フリーランスで年間所得が900万円を超える人は、法人化した方が高い節税効果を期待できると言えるでしょう

また、法人化すると自分の収入もすべて「給与」と見做されるので、給与所得控除の対象となります。さらに、社長の給与は経費として売上から差し引くことが可能です。

法人化について詳しく知りたい方は、「フリーランスは法人化しないほうがいい?メリットや法人化する目安を解説」でも詳しく解説しているのでご参照ください。

※参考:「No.2260 所得税の税率」|国税庁
※参考:「No.5759 法人税の税率」|国税庁

フリーランスの節税対策については、「フリーランスの節税対策!損をしないための経費と控除の知識」でも詳しく紹介しています。ぜひこちらも併せてご確認ください。

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同じ年収1,000万円なら会社員の方が得?

年収が同じ1,000万円でも、フリーランスより会社員の方が手取り額が多い傾向にありますが、一概に「会社員の方が得」とは言い切れません。

フリーランスと会社員の手取り額に違いが生まれる理由は、所得税・住民税・社会保険・個人事業税の4つに下記のような違いがあるからです。

  フリーランス 会社員
所得税 ・最大65万円の特別控除を受けられる(青色申告の場合) ・自分で納付をする ・最大195万円の給与所得控除を受けられる ・給与から天引き
住民税 ・自分で納付する ・給与から天引き
社会保険 ・国民年金、国民健康保険に加入(全額自己負担)
・家族がいる場合は、家族分も別に支払う必要がある
・自分で納付する
・厚生年金、企業の健康保険に加入(企業と折半して負担)
・扶養家族がいても支払う保険料は変わらない
・給与から天引き
個人事業税 ・原則、法定業種に該当し前年度の所得が290万円を超える場合に支払う必要がある
・自分で納付する
・なし


上記の違いにより、最終的な手取り額はフリーランスの方が少なくなってしまうことが多いようです。

しかし、フリーランスの場合、計上する経費を調整するなどして所得額を減らせば、節税が可能です。また、会社員でも副業で所得が20万円を超えると、課される所得税額が増えます。

フリーランスと会社員のどちらが得かを判断する際には、手取り額だけでなく、税金や自分が求める働き方など、あらゆることを加味して考える必要があるでしょう。

※参考:「No.1410 給与所得控除」|国税庁

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フリーランスで年収1,000万円の人の割合

フリーランスで年収1,000万円の人はどれくらいいるのか気になる方もいるでしょう。結論から言うと、フリーランスで年収1,000万円の人の割合は、それほど多くはありません

フリーランスの大まかな年収分布を知るために、まずは内閣官房日本経済再生総合事務局の資料「フリーランス実態調査結果」を見てみましょう。調査回答者は、フリーランスとしての仕事を本業かつ主たる生計手段としている人たちです。年収は「収入(売上高)から必要経費などを差し引いた所得」を示しており、税金・社会保険料を差し引く前の金額です。

年収額 割合(%)
100万円未満 0.16
100万円以上~200万円未満 0.16
200万円以上~300万円未満 0.19
300万円以上~400万円未満 0.16
400万円以上~5000万円未満 0.12
500万円以上~600万円未満 0.08
600万円以上~700万円未満 0.04
700万円以上~800万円未満 0.03
800万円以上~900万円未満 0.02
900万円以上~1,000万円未満 0.02
1,000万円以上 0.04


また、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の資料「フリーランス白書2020」では、調査回答者全体の年収割合は以下の結果となっています。こちらも併せてご参照ください。

年収額 割合(%)
200万円未満 0.225
200万円以上~400万円未満 0.229
400万円以上~600万円未満 0.199
600万円以上~800万円未満 0.116
800万円以上~1,000万円未満 0.1
1,000万円以上~2,000万円未満 0.099
2,000万円以上 0.019


上記、フリーランス白書の年収額は、経費を差し引く前の売上額を示しています。また、1,000万円以上の割合は「1,000万円以上~1,200万円未満」「1,200万円以上~1,500万円未満」「1,500万円以上~2,000万円未満」の数字を合計したものです。

フリーランスの年収については、「フリーランスの平均年収はいくら?ITエンジニアの相場や会社員との比較」でも紹介しています。ぜひ併せてご確認ください。

※参考:「フリーランス実態調査結果」|内閣官房日本経済再生総合事務局
※参考:「フリーランス白書2020」|一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会

フリーランスの税金に関するよくある質問

ここでは、フリーランスの税金に関するよくある質問に答えていきます。

Q.  個人事業税が課税される業種にはどのようなものがありますか?

個人事業税が課税される業種には弁理士業、税理士業、デザイン業、行政書士業、コンサルタント業等があります。詳しくは各都道府県HPをご確認ください。

Q.   フリーランスが国民健康保険料を納める際の料金はどのように計算されていますか?

国民健康保険料の内訳には医療分と後期高齢者支援金分があります。また、40歳以上になると介護分が加わります。国民健康保険料の計算は各自治体で異なりますが、ここでは東京都港区を例に計算してみましょう。

医療分の計算:所得割額(被保険者全員の賦課基準額×7.16%)+均等割額(被保険者数×42,100円)=年間医療分

後期高齢者支援金分の計算:所得割額(被保険者全員の賦課基準額×2.41%)+均等割額(被保険者数×13,200円)=年間支援金分

介護分の計算:所得割額(介護保険第2号被保険者全員の賦課基準額×2.02%)+均等割額(介護保険第2号被保険者数×16,600円) =年間介護分

39歳以下の場合:年間医療分+年間支援金分=年間国民健康保険料

40歳以上の場合:年間医療分+年間支援金分+年間介護分=年間国民健康保険料

Q. 厚生年金の加入資格を失ったフリーランスが国民年金に切り替え手続きを忘れた場合、どのようなリスクがありますか?

国民年金に切り替え手続きを忘れた場合、保険料の納付期限から2年以内であれば、後から保険料を納めることができます。手続きをせずに未納のままにしておくと、障害基礎年金や遺族基礎年金が支給されないことや老齢基礎年金を満額受給できない可能性があります。

Q. フリーランスが国民健康保険料を納めることでどんな給付金を受けられますか?

フリーランスが国民健康保険料を納めることで、保険事故が発生した場合は療養費の支給や入院時食事療養費の支給や高額療養費の支給等が受けられます。

Q. フリーランスはどのような所得控除を利用することができますか?

フリーランスは社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除や配偶者控除等の所得控除を利用することができます。

※本記事は2022年8月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

簡単4ステップ!スキルや経験年数をポチポチ選ぶだけで、あなたのフリーランスとしての単価相場を算出します!

※相場算出に個人情報の取得はおこないません。

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